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詩、小説、漫画、映画、写真、美術、音楽、建築、世界への旅、1960~70年代の記憶……。
あらゆる表象芸術を論じ、同じ時代を疾駆した博覧強記の評論家ふたりによる初の対論。
隣り合って交錯し、ずれながら反響する知のセッション!
生年も経歴もほぼ同じ。映画と写真、専門分野は違えども、時代を見つめる姿勢だけは変わらない。少女アリスとビートルズを守護神に、詩を書き、夢を見、アジア・アフリカ大旅行。表象芸術、何でも来い! 始まりも終わりもない対論集がついに刊行!
「隣接性は直前性といってもいいかもしれません。いずれにしても、連続性や従属性とはまったく別のものです。それはテクストが先行するすべてのテクストと対等な位置において並び、そこにいかなる支配/被支配の関係も存在していないという状況を指しています。
ただ隣り合っていて、無言でお互いを肯定しあっている。そうしたトポロジカルな関係を、わたしは隣接性と呼んでみたいのです。武者小路実篤は色紙に一筆をと依頼されると、よく茄子と胡瓜が並んでいる絵を描き、「なかよきことは美しきかな」と言葉を添えました。「なかよきこと」など、世界を見渡してももうどこにも見つからなくなった現在、わたしはあえて隣接的を文学の価値の基準として差し出してみたいのです」――四方田犬彦「テクストの隣接」より
【内容目次】
第一部
ウィリアム・ウィルソン 四方田犬彦
ハイスクール・デイズ 飯沢耕太郎
ハンガーストライキ 四方田犬彦
アフリカの断食者――ムゼーのこと 飯沢耕太郎
万里の長城とバベルの塔 四方田犬彦
「夢の建築」の方へ 飯沢耕太郎
戒厳とその直後 四方田犬彦
先回りするロバンソン、テツオくんのこと 飯沢耕太郎
苦痛のもとに書く 四方田犬彦
苦痛を分かちあうということ 飯沢耕太郎
肉体の宿命を撮影する 四方田犬彦
生と死のボーダーライン、あるいは…… 飯沢耕太郎
アーバスの真実はどこにあるか 四方田犬彦
第二部
詩ってなんだろう? 飯沢耕太郎
中断と訣別 四方田犬彦
「欠落と断片」、そして「異言」 飯沢耕太郎
アウトサイダー・アートとしての現代詩 四方田犬彦
「連れていかれる」ということ 飯沢耕太郎
テクストの隣接 四方田犬彦
「猿」と、起源の欠落について 飯沢耕太郎
女性性器の表象 四方田犬彦
「名前」について 飯沢耕太郎
表象と命名 四方田犬彦
来るべき「きのこ時代」のために 飯沢耕太郎
ビートルズと茸の関係について 四方田犬彦
終末と晩年様式 飯沢耕太郎
終末もなければ起源もない 四方田犬彦
『マッシュルーム・ブック』とルドンの壁画 飯沢耕太郎
【著者プロフィール】
四方田 犬彦 (よもた・いぬひこ)(著)
1953年生まれ。映画史家、比較文学研究家。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文学を学ぶ。明治学院大学教授として長らく教鞭を執り、コロンビア大学、ボローニャ大学、テルアヴィヴ大学、中央大学校(ソウル)、清華大学(台湾)などで映画史と日本文化論を講じる。『月島物語』(集英社)で斎藤緑雨文学賞、『映画史への招待』(岩波書店)でサントリー学芸賞、『モロッコ流謫』(筑摩書房)で伊藤整文学賞・講談社エッセイ賞、『ソウルの風景 記憶と変貌』(岩波新書)で日本エッセイスト・クラブ賞、『白土三平論』(作品社)で日本児童文学学会特別賞、『日本のマラーノ文学』『翻訳と雑神』(ともに人文書院)で桑原武夫学芸賞、『ルイス・ブニュエル』(作品社)で芸術選奨文部科学大臣賞、『詩の約束』(作品社)で鮎川信夫賞受賞。主な著書に『パゾリーニ』『零落の賦』(ともに作品社)などがある。
飯沢 耕太郎(いいざわこうたろう)(著)
1954年生まれ。写真評論家、きのこ文学研究家。日本大学芸術学部写真学科卒業、筑波大学大学院芸術学研究科学術博士課程修了。1990年、季刊写真誌『déjà-vu(デジャ=ヴュ)』を創刊。1996年、『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書)でサントリー学芸賞受賞。写真関連の著書に『写真的思考』(河出書房新社)、『現代日本写真アーカイブ』(青弓社)、『写真の国のアリス』(福音館書店)などが、きのこ関連の著書に『きのこ文学大全』(平凡社新書)、『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』(東京キララ社)、『フングス・マギクス 精選きのこ文学渉猟』(東洋書林)などが、編書に『きのこ文学名作選』(港の人)、『泉鏡花きのこ文学集成』『宮沢賢治きのこ文学集成』(ともに作品社)などがある。
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