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Posted by ブクログ
古代史の地質学的な背景を探っていく内容だが、著者自身が古代史そのものに入れ込んでいる。
ヤマト王権が奈良に生まれた理由の一つとして、この地が平坦な盆地で比較的水に恵まれ、稲作に適していたことが指摘されている。唐古・鍵を中心とする「おおやまと」地域は、盆地へ流れ込む最大の河川である初瀬川が流れ、湿地の近くにあったため、盆地内でも米の生産力が高く、それを背景に勢力を誇っていた。初瀬川流域に広く分布する斑レイ岩は鉄に富み、それが初瀬川に運ばれて稲の根腐れや病害を防いだり、空気中の窒素を固定する鉄還元菌の生育を促す効果をもたらした。3世紀の中頃を過ぎると、おおやまと地域は多くの移住者を迎えて新田開拓や技術開発を進め、米や手工業の生産力が飛躍的に向上した。洪水の危険性が低い川の上流域に、大規模な灌漑水路(纏向大溝)が建設され、おおやまとの中心となった。
5世紀後半から8世紀初頭までの間は、乾燥・温暖と湿潤・寒冷の幅が大きい気候不順期だった。735年と737年に疫病(麻疹)が大流行し、人口450万人のうち150万~200万人が死亡した。ヤマト王権が大神神社を創始して以来続いてきた祭祀国家を鎮護国家へと変更することが、アマテラスの子孫であり、神祇を祀ることが使命である天皇の存在そのものを否定することにならないよう、聖武天皇と橘諸兄が採用した方策が神仏融合だった。
Posted by ブクログ
同年にでた『大地と人の物語』のように、神話や伝承、歴史を地学の立場で語る本が増えている。
来ちゃうのか?ブームが!
本作は日本古代史を地学的に掘る。
日本の歴史を学ぶものは、例えば「ヤマト(奈良盆地)の豪族の政権が強くなったの、なぜ?」という問いに「コメがたくさん取れたし、海からの距離もちょうど良かったし…」みたいな答えは用意できるし、まあ知っているわけだが本書では「じゃあなぜ奈良盆地のオオヤマトのあたりでコメがとれる?」と、もうひと掘り、問いを立ててくれる。
とくに、中盤、熊野の山や奇岩、鉱物などを扱う部分は読み応えがあって、いい学びになった。
ちなみに、「門外漢」が古代史を語る時あるあるの、「だからこの神話は実話だと思う…」とか「学会で黙殺された新事実!」みたいな断言口調のアホなことは基本言ってこない、押し付けがましくはない本なので、その辺は安心できる(もちろん、特に後半部で、学説が割れていたり定説のない事象に、「私はこの説の立場をとって語る」みたいな話の振り方はあるが)。
Posted by ブクログ
日本人は古くから、山に神を仰ぎ、巨岩に神の気配を感じ、湧き出る水に祈りを捧げてきた。やがて仏教が伝わると、その祈りの風景に仏が加わり、神と仏は時に重なりながら、この国独特の信仰を育んでいった。その背景を地殻変動から読み解こうとする。火山が生んだ山、断層がつくった谷、地下から湧く水。神が鎮まる場所、寺が建つ場所には、大地の営みが深く関わっていた。神は自然への畏れから生まれ、仏は人の苦しみに救いをもたらした。その二つが大地の上で出会い、溶け合ってゆく。神と仏を知ることは、日本人がこの激しく動く列島と、どのように生きてきたかを知ることでもある。
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