Posted by ブクログ
2013年08月20日
「記者といえどもしょせんは会社員なのです。冒険する必要はまったくありません」(231頁より引用)
「第四の権力」として、三権(立法、行政、司法)の監視役としての役割を期待されるジャーナリズム。それは日本でも当然…だろうか?あなたは「記者クラブ」という言葉を聞いたことはあるだろうか?
日・米でジャ...続きを読むーナリストとして働いた経験を持つ著者。本書では日・米の視点の違いを知る著者の目を通して見える、日本のジャーナリズムの実態が縦横無尽に述べられている。
全般的に、皮肉の利いた文章になっていて読み易かった。以下は印象に残った3点についてのメモ。
①役割の違い: 通信社と新聞社
②署名のない記事
③悪名高い記者クラブ
①日本のジャーナリズム精神=海外のワイヤーサービス
ワイヤーサービス(通信社): 速報性に価値を置くメディア
ジャーナリズム(海外)=時事的事象+解説・批評
海外では新聞社とワイヤーサービスの役割が明確に区別されている。そのため、例えば著者が在籍していたNYタイムズにおいては、連日約100頁の新聞を作ることができている。ちなみに、日本の新聞では36頁ほどに留まっている(朝刊)。
②自らが書いた記事に署名を明記することは、その記事の責任を負うことであり、また記者自身の成果をアピールすることにも繋がる。取材相手の名前を晒したのに、取材した者が自身の名前を明かさないのは卑怯。
日本では、記事の中で記者の名前を明かすことは売名行為に当たる感覚があるらしい。
③雑誌記者や外国人記者、フリーランスの記者を排除する記者クラブ。
それでいて、記者クラブ所属の記者たちは権力側の嫌がる情報を手にしても報道しない。取材先から「出入り禁止」を食らうと評価が下がってしまうから。ジャーナリズムの本来の役割は権力の監視にあるはずなのに。