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Posted by ブクログ
キャラ論を調べると学校教室の例がよく出てくるので気になり、60ページ程度のブックレットなら軽く読めるだろうと、本当に気楽に手にとって読んでしまった。後戻りなどできなかった。
本書は2004年刊行で佐世保の女児同級生殺傷事件を取り上げている。そして彼女たちが事件に関わったのは僕と同じ年齢の時だ。だからこそ慎重に読まなければならなかった。当時の僕達の関係を支配する構造がここまで見破られるとは思ってもいなかった。クラスメイトとの「優しい関係」、触れてはいけない「ダイヤモンドの原石のように秘められた個性」、教室空間の外部社会における「他者の不在」。ほぼ全てが当時の感触と一致していたと言っていい。とても貴重な論考だと思う(とてもレビューになってない言葉の切り出し方だと思う)。
ただ、僕は今とてつもなく虚しい。殺人現場で探偵の推理に立ち会い犯人と犯行手段、動機など全てが明らかにされた。しかし、その状況を前に立ちすくむしかないような思いだ。なぜなら、これは「事後」「経過中」の事件だからだ。あれから7年も経っても僕が学校に関心を寄せる事といえば、僕が去った教室空間は当時と同じように在り続けるのだろうかということだ。事後分析は事が宿命的に起こり続けるのとは無関係にいくらでもできるということだ。一体誰がこのシステムを外部からくい止められるというのだろう。
これではレビューにならないのでまとめに入ると、最近の子どもの友達関係が昔と比較してどのように変化しているのか。子どもの自己は「個性」とどのように関係しながら成立しているのか。近頃の子どもが何を考えているのか分からない!そういう人にはおすすめだと思います。もちろん、7年前と今では携帯通信端末の所持率や家庭へのPC普及率が段違いなので、何も変化が無いとは言い切れませんが… 少なくとも、7年前の僕が感じていた「空気」がよく分析されているなと関心したので、星5つ。
(蛇足)本書の締括で筆者はこう述べる。「この小冊子が、その論争の大海へと船を漕ぎだすための、ほんのささやかな津の一つにでもなることができれば、著者としてこれに優る喜びはありません。」 津どころか大波ですが!?
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
[ 目次 ]
1 親密圏の重さ、公共圏の軽さ―子どもの事件から見えるもの(親密圏における過剰な配慮;公共圏における他者の不在;「つながり」に強迫された日常)
2 内閉化する「個性」への憧憬―オンリー・ワンへの強迫観念(生来的な属性としての「個性」;内発的衝動を重視する子どもたち;「自分らしさ」への焦燥)
3 優しい関係のプライオリティ―強まる自己承認欲求のはてに(「自分らしさ」の脆弱な根拠;肥大化した自我による共依存;純粋な関係がはらむパラドクス)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
SMAPの『世界に一つだけの花』がヒットした2003年の翌年に発行されたブックレット。「もともと特別なOnly one~♪」という最後の歌詞のフレーズに対し、「特別なものを見出せない自分には価値がないかのように思わせる煽りの歌ともいえる」と書かかれており、「うーん、そんなふうに捉える必要があるのか」と、いささか違和感を覚えた。
確かに、私が子どものころの社会は、個性重視よりは、周りとの調和を重んじており、そういう意味では社会規範も変わってはきている。特に2003年以降、「個性的であること素晴らしいこと」だと、社会の認識が変わってきたことも事実ではあろう。いずれにしても、個性、個性と言っているのも、実は個人ではなく「社会」であること、新たな社会規範に拘束され否応なく社会化されているという視点はするどいと言わざるを得ないだろう。
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