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昔、捕まってこらしめられたワルのカッパたちが、「この石がある限り、戻ってきて悪さをすることはない」と残していった“カッパ石”。その存在を確認しに、カッパどもが150年ぶりにやってくるという。ところが、本物の石は明治時代の大洪水で流されて行方不明、今のは替え玉。…大変だ!この大ピンチに町を救うべく立ち上がった不思議な転校生・菜の子ちゃんと、地元の少年トオル。本州の西の端・下関に展開する一夜の冒険!
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Posted by ブクログ
富安陽子先生の『日本全国ふしぎ案内』シリーズには、謎の転校生「菜の子ちゃん」がクラスメイトの子と一緒に、一見堅苦しそうな印象を受けがちな日本全国各地の不思議な歴史や伝承について楽しく触れつつ、それらにまつわる謎にも挑戦することで『ふしぎなものたち』への親しみが増していく、そんな素晴らしさがあるので...続きを読むす。 前作は奈良県の天川村でしたが、今作は山口県の下関が舞台となり、百五十年ぶりにやって来るカッパたちが悪さをする前に本物の『カッパ石』を探してこなければいけない、という物語で登場する、青山、四王司山、赤間神宮は全て実在する上に、カッパ石自体の伝説もそのまま物語に反映されていて、これは地元の子どもたちにはたまらないものがあるでしょう。 そんなリアル感満載の物語に於ける、富安先生流のエンタテインメントがまた楽しく、それはイノシシに乗りながら移動することや、多聞天とも呼ばれる神様の設定が短歌好きであることに加え、今どき蓑なんて誰も着ないからと『ほっかむり』を用意した菜の子ちゃんが、「世の中進歩してるんだよ」と言う可笑しさもありつつ、『人間が勝手にいろんな名前をつけるけど、ほんとうの名前は知らない』や、『礼儀正しく作法を守っておねがいしたら、みんな答えてくれる』等、思わずハッとさせられるようなメッセージも潜まれております。 また、富安先生といえば文章で表す自然描写の素晴らしさも印象に残り、それは本書の始まりの中にある、『ほやほやと暖かくなった海風が、山をこえ、この町まで、潮のかおりを運んでくるようでした』や、『学校の裏山のところどころにはまだ、遅咲きのヤマザクラが、ぽっぽっと、雪洞でもともしたように咲きのこっているのが見えました』を読むだけで思わず想像してみたくなる、ほのぼのとした雰囲気の中にも漂う美しさがまた、YUJIさんの素朴さや美しさの中に時折漂う、愛嬌のある絵とも優しく溶け合っていて、物語を更に盛り上げてくれます。 そして巻末の「作者解説」では、富安先生ご自身による、平氏の亡霊が乗り移ったという伝説のあるヘイケガニのイラストに、赤間神宮の建立には安徳天皇を偲ぶ、当時の人々の思いがあったこと等、大人が楽しめる要素も満載です(2016年作)。
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