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Posted by ブクログ 2023年08月23日
呉明益の小説は、『歩道橋の魔術師』『自転車泥棒』を読み、これで3冊目。今まで読んだ2冊が、中華商場や、第二次大戦といった、台湾の歴史的な記憶を拠り所にした物語だったのに対して、『複眼人』は、ファンタジー要素が強く、印象がかなり違う作品だった。
世界中の人間が捨てたゴミが太平洋沖に集まってできた「ゴ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月05日
『人生というものは、自分の考えを挟むことは許されず、ほとんどは否応なしに受け入れるしかない。オーナーの独断で料理が決まるレストランで食事をするようなものなのだ』
「歩道橋の魔術師」や「自転車泥棒」の郷愁漂う趣とはかなり異なる味わいの物語に少し驚く。現実に仮想を投映した文明批評という印象に先ず染まる...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年06月28日
10年前に書かれた世界がだんだん近づいてくるような、そんな近未来。にぷっかり浮かぶ小さな島ワヨワヨ島。島の神話の掟、次男は旅に出るに従ってアトレは海へ。台湾では夫と息子を探すアリスがゴミの島、渦の到来と破壊の中で、二人の世界が交差する。
環境破壊、アザラシや鯨の乱獲などの問題の他先住民の魂の拠り所、...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年01月30日
前半、各登場人物たちの来し方が静かに語られる。さざなみ、ゴミを運んできた大波と共に物語が動きだす。アリス、アトレの出会い。アトレはアリスにとって夫、子の影である。自然との出会い。文字の世界(トト)からの解放。自然の子、海に帰る。
アトレ、アリスは色々意味で現実の環境問題から切り離されている、または意...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月01日
幻想小説という説明だったのでそのつもりで読み始めたのだが、読み進めるうちに事実に基づいた部分も多いことが分かってきた。
いちばん幻想っぽい要素である「ゴミの島」は実在しており、過去には国連認定を受けるためのキャンペーンなども行われていたようだ。
地図でその位置を見てみると(作中では台湾だったが)位置...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年06月08日
ゴミでできた島が存在することを知らなかった。日々生み出す廃棄物に少しでも目を向けてみれば、それらの行き着くひとつの帰結が「海に浮かぶゴミの島」だと判るのは簡単だろうに、想像したことがなかった。怠慢だと思う。きっとこうした怠慢が無数にあり、その危うい土台の上に自分の生活が乗っかっている。小説は娯楽だが...続きを読む
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