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「顔がないんだ、ぬっぺっぽうみたいにさ」 藤沢宿で働くお初は、自分の色男である勝道にそう言った。 「目も鼻も口も耳もない、ぺろりとした顔のそいつが、いつも出てくるんだ」 怖いものなどない破戒僧の勝道だが、なぜか「ぬっぺっぽう」だけは恐ろしかった。 「この悪夢を祓ってくれる、良い神社仏閣はないものかねえ」 勝道は、お初を江島明神の弁財天詣でに誘う。 その地に伝わる哀しい身投げ話など知りもせずに。
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Posted by ブクログ
時代小説は、登場人物が神とか仏を信じていて、不思議な出来事を科学的に証明しようとせず、ありのまま受け入れるところが良い。ほっこりする。 江ノ島に行きたくなる。
時代は江戸か。読みやすく現代風にかかれているのと、些細なすれ違いをミステリに仕立てる高田崇史は健在。 高田崇史初心者のとっかかり本としては、良い本だと思う。
情人とともに弁財天を拝みに江ノ島を訪れた元僧侶。そこで身投げした稚児の悲劇と交わり…『初の時代物』とあるが、『カンナ』を思い浮かべるストーリーで当然、相性は良い。弁財天、遊女、稲荷そして鍛治。このテーマで面白くないワケがない。
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