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「人災」とされる福島原発事故。「人災」対「天災」という分類は、未曾有の大災害の真実を尽くしきれているだろうか。本書は、戦前から連綿と続く、日本社会に根をおろした「構造」にあえて眼を向ける。その「構造」から、科学技術と社会のあいだの危機のメカニズムを解明する。そして、問題克服の道筋をさぐる。
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Posted by ブクログ
難しい名前の本だが、自分なりに理解すると、科学技術の問題が、社会構造の問題に波及・反映して問題を複雑化、困難化していくこと、それ自体災害ととらえる考え方だと思う。 構造災の特性 (1)先例が間違っているとときに先例を踏襲して問題を温存してしまう。 (2)系の複雑系と相互依存性が問題を増幅する。...続きを読む (3)小集団の非公式の規範が公式の規範を長期にわたって空洞化する。 (4)問題の対応においてそのば限りの対処療法が増殖する。 (5)責任の所在を不明確にする秘密主義がセクターを問わず連鎖する。(p46) 著者は社会科学系の学者だが、原子力を中心に様々な事故について、この4つの問題がからみあう問題を明らかにしている。 ふと、疑問に思った。 被災地で過大な面整備を計画しているのも、実はこれに似ているのではないか。 人口減容、少子高齢化の時代に、これまでの高度成長、人口増加の時代の手法をそのまま使ってしまう、事業手法の細かなやり方は、特定グループの職業知になっていまって、いつのまにか、法律ではそこまでもとめていない立派な道路や公園ができてしまう、受け皿となる住宅や産業がそんなにないのに、適当な対応でごまかして事業がとまらない、最後にその事業を実質決めた責任の所在がはっきりしない。 ああ、これって日本の技術と社会の狭間にある、様々な問題に共通する課題だなと思う。 解決策は、やはり、狭い人間に閉ざされている専門知識なるものを翻訳して、それをオープンな場で戦わせて、解決策を地域住民と一緒にみつけることだなと思う。原子力の問題に比べればまだまだ先は明るい。 そう思って読むと、いろいろ知的興味がわく本。タイトルがいまひとつ。 直せるものは少しずつでも直して、いい街を復興したい。
新しい概念というのは、書くほうも試行錯誤するのでしょう。その試行錯誤に多少とも付き合うことになるので、なかなか理解が遠い。それでも・・・・、何か変だ・・・と思っていることへの解答として魅力ある概念だという感じはした。 構造災としての原発事故だとすれば、なぜ現在もなお廃炉を惜しむ声があるのだろうか。 ...続きを読む当事者こそ、しっかり構造災を学んでほしいものだ。
構造災の要素 ①先例が間違っているときに先例を踏襲して問題を温存させてしまう。 ②系の複雑性と相互作用性が問題を増幅する。 ③小集団の非公式の規範が公式の規範を長期にわたって空洞化する。 ④問題への対応においてその場限りの想定による対症治療法が増殖する。 ⑤責任の所在を不明瞭にする秘密主義がセクター...続きを読むを問わず連鎖する。 ファシリテータ、インタープリターなどの「つなぎ目」の提案 構造災はこのような対症治療法の対症治療法の対症治療法・・・といった、つぎつぎに対症治療法が増殖し、本来解決すべき問題が帰って視界から遠のいてしまう状態を含む。 そして対症治療法はそのように増殖する傾向を元来もちやすい。なぜなら、問題の対策を考える際に頻用されている費用ー便益分析の流儀に従うと、便益が一定の場合、対症治療の費用のほうが構造差異の解決に必要な構造改革の費用よりつねに桁違いに安いことは想像にかたくないないからである。 秘密主義も連鎖 うーん。たしかにそうなんだけど、どれも変えるのがとても難しい問題ばかりなのと批判の仕方がちょっと神話めいたものもはいっていてあんまり好きじゃない。 費用便益の評価の偏りについて要調査。 先日テレビで片山さつきがB/Cの問題点について討論していたが、今はB/C以外の評価軸の開発と多元的な評価を目指しているらしい。またライフサイクルコストや住民意向の観点なども徐々に取り入れてはきている。対症治療法の無限循環、手段の目的化の無限循環的なところ、生物学的に行けば順機能なのでそれをいかに大前提の目標達成のルートにのせられるかというデザインが必要なのかも知れない。 そもそもその大目的みたいなものも他のなにかの手段であったりするわけで、何が目的かっていうところは決定不能なんだよな。。。それが一見自明そうな人間の命を守る、幸福にするということであってさえもその自明性は揺らいでいる。その目標さえも複雑化縮減のためのモデルであったりするわけだし。 どこまでの内部観測地点で全体を「俯瞰している」といえるか、ということを考えだすと人工知能の難問フレーム問題にも通じる途方もなさを感じる。
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