Posted by ブクログ
2011年07月10日
王子が何を書いて見せてくれるのか、それに興味があったためだけにこの本を手に取りました。
世界設定への忠実さ、それは『良くも悪くも』って言うべきなのでしょうが、
私はどちらかというと好意的に捉えました。
世界観を無理矢理どうこうしたための歪みなどは、一切ありません。
本来ならシステムが補い、プレイヤ...続きを読むーが基本知識として持っている部分。
それを小説という形で、読者にも無理なく受け入れて貰おうとする工夫が見られて、世界の表現としては大変好印象でした。
DXプレイヤーですので、
そりゃ普通の展開なんてこれでもかってほど繰り返しています。
それでも――それだからこそ、かな?
キャラクターが持つ過去の傷、それによる痛みと拒絶は、私の意識に鮮烈に響きました。
キャラクターの心情表現はとても緻密です。
王子は何がキャラクターにとって痛みになるのか、非常によく判ってると思います。
これが小説であるために、キャラクターの立ち回りはより激しく。
実際のプレイを彷彿とさせる部分もあり、知識のある人間としてはにやりと出来ます。
キャラクターに投入するタイプのプレイヤーなら、この本を楽しめるかもしれません。
イベントを文字として読み進めるのではなく、
物語をなぞると思って読み進めれば、この本はとても心に響くでしょう。