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ここは授乳に悩む母親と赤ちゃんのための駆け込み寺、みどり助産院。授乳をきっかけに自信をなくしたり、人間関係に悩む母親たちが次々に院を訪れる。院長であり助産師の律子は、母親たちの身体に触れ、声を聞き、寄り添うことで、母親たちの背中を温かく後押ししていく。幼い命のために奮闘する助産師たちと、母親、それを支える人々を描く大感動の助産師小説、第2弾。
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Posted by ブクログ
p.216 律子先生が頷いた。 「律子先生は、みらいの顔を見た瞬間からわかっていましたよね?」「何を、ですか?」 「みらいがダウン症かもしれないってことです」 「私にはそんな能力はありません。顔を見ただけで赤ちゃんのことがわかるのは、その子を産んだお母さんだけです」 p.220 「早速ネットで...続きを読む調べてみます」 有希は上ずった声で言った。 「ネットは駄目です。残念ながらネットの情報は玉石混交かつ露悪的なものが多くなる傾向があるので、人の命が関わる局面で使うべきではありません。不安な気持ちになっているときは、正確な情報”が何より大切です」律子先生がめるように言った。 「正確な情報、ってどこで手に入るんでしょうか」何が正確な情報”なのか。 物心ついた頃からネットに触れていて、ネットリテラシーには敏感なはずだが、それでも時々わからなくなってしまうときがあった。 「大事な情報は、人に訊くことです。まずは主治医や看護師、保健師など、身近にいる国家資格を持った専門職に相談をしてください。もしも彼らに答えられないことがあったとしても、きっとその分野に長けた人や組織を紹介してくれるはずです。気が利かない専門職がいたら、こちらから「この相談の答えがわかる人を紹介していただけますか?」とは つきり頼みましょう」 「人に訊く…」 情報、というのは全てネットの中にあると思っていた。 もっとたくさん調べて、もっと誰も知らない真実を探さなくてはいけないと思っていた。 「ネットの情報と違い、血の通った人間が持つ情報には善意と誠意、それに責任があります。場合によっては、それはお節介と言われてしまうこともありますが」律子先生が小さく肩を竦めた。 「ひとまず「不安なときは、情報は人に訊く』、そう覚えておいてください」「不安なときは、情報は、人に訊く、ですね…・・・・」有希はおずおずと、そして何度も頷いた。 p.255 取って、透子は即座に都内の無痛分娩で最も有名な病院に分娩予約を取った。 小さい頃からとても痛みが怖かった。 学校での集団予防接種の日は注射が嫌で数日前から気が重く、病院で採血をしてもらう直前に眩量を起こして倒れてしまったこともあった。 歯医者では震えが止まらなくなり、毎回、笑気麻酔をしてもらってどうにか耐えた。 周囲から、臆病だ、大袈裟だ、と笑われるたびに、情けない気持ちになった。 痛みを感じること、それ自体は受け入れることができるのだ。 突発的な怪我や打ち身にはけろっとしているし、頭痛や生理痛のときに鎮痛剤を飲みすぎてしまうわけでもない。 ただ、これから痛みがやってくると想像することがたまらなく辛い。未来に避けられない痛みが待っていると思うと、それがどんな此細な痛みであれ、世界が暗く見えて気持ちが塞いでしまう。 ピアスや刺青なんて、儲から見ているだけで農え上がりそうになった。 物心ついた頃からのそんな自分の性格を持て余していたので、これで出産までの半年以上、陣痛の恐怖に供えなくていいと思うと、羽が生えたように胸が軽くなった。 産院で無痛分娩の説明を受けながら、「分娩予約が間に合ってよかった」と、ずっと安心していた。 ほどなくして始まった悪阻のときも、「これさえ乗り越えれば、あとは少しも痛くない快適な出産が待っている!」と自分を鼓舞した。 けれどそんな生活の中で、胸の中でほんの小さな、しかしはっきりとした別の声が聞こえてもいた。 私は、駄目なお母さんなのかもしれない。 私は出産という場面で、赤ちゃんのためにすべての痛みを引き受けて、今できる限りの最善を尽くすべきではないのだろうか。
前作私が読んだのは「おっぱい先生」というタイトルだった。 いつの間にか改題されて、続編が出てた。 まあ…確かに「おっぱい先生」は手に取りにくい方もいるかもね。私は好きだったけど。 今回もみんな悩んでるねぇ。 短編なんだけど、ダウン症の赤ちゃんを産んだお母さんが出てきた。 今年はこういう年なのか? ...続きを読む 私の両親もこんな感じだったんだろうか。 姉は生まれてすぐ大きな大学病院に搬送されたそうだ。 障害宣告は父が一人で聞いたそう。 一年生きられないだろうって。 はい、皆さんご存知の通り、姉はその40倍以上大きな病気をすることもなく生きております。 まぁそんな宣告されたら過保護にもなるわな。 私も娘の口蓋裂の話聞いた時「ガーン」って周りの人に音が聞こえたんじゃないだろうかと思う位にはショックだったもの。 まぁ見つかったのも小学生になってからの話だったし、別に命に関わるものではないし、これまでとこれからと何か変わるわけでもないし、子供を持とうと思った時に色んな覚悟は決めてたわけで。 立ち直りも早かったんだけど。 手術を受けるかどうかの部分だけはすっごく悩んだ。 一人で。 だって夫は役に立たない頃だったから。 私一人で頑張ったのよ。もう自分で褒めるわよ。 結局手術も受けないことにして、年に2回定期検診(といっても、本当にちょっと口の中見て終わりなんだけど)が増えただけ。 今までなんでだろうと思ってた部分に理由が付いてスッキリした。 まぁそんな訳で(どんな訳)赤ちゃん10人お母さん10人いれば10通り…100通り?の悩みがあるのよね。 元気でいてくれればそれでいいわ。 と母は思います。 父たちは…読め。(投げやり笑)
泉ゆたかさんの #世田谷みどり助産院 シリーズ第2弾。 4つの短編から構成されていて、前作より内容は重めでした。 保健師さんも新たな協力者として登場して、 次回作も楽しみ!
前作に引続き、産後当時を思い出して心揺さぶられました。 どうしてこんなにいっぱいいっぱいになってしまうのか。慣れないことばかりで、眠れない疲れとストレスで追い詰められてく産後のお母さん。あぁ、自分もこんな時期をすごしたなーとツラくなり、おっぱい先生こと律子先生の一言に涙する。 まだまだ子育て中の身で...続きを読むすがお母さんが心身ともに健康でいるように努めるのは、子供のためでもある。って本当にその通りだなと思います。
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