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若い頃の友人に再会した作家は、「最期の時間を一緒に過ごしてほしい」と頼まれる。友人は末期がんだった。そして、心の準備ができたら薬を飲んで死を選ぶという。思いがけぬ日々のなかで作家が見たものは──。全米図書賞受賞作家による感動作。ペドロ・アルモドバル監督映画原作。
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Posted by ブクログ
哀しい話が最近は読みたい気分なのかも。話はいろんなところに寄り道するけど、どの話も悲しく共感して考えさせられる。結構好きだった。
アルモドバルの映画になってるそうで、原作物だけど大丈夫かな?と思ったのだけれど、杞憂であった。妙に迫ってくる。考させられ、余韻が残る。 そうだ、この人『友だち』の人なのね。あれも生と死や人間関係がちょっと不思議な感じだったなと思い出した。
中年女性作家のわたしは、重い病を患う友人を見舞う。友人の告白に戸惑うわたしの選択は…。 「死」を間近にした友人と過ごす時間のなかで、さまざまな人物の描写がある。 そのなかでも友人親子の関係は重たく感じた。 ほっとするのは宿泊先のホストの保護猫だろうか… 終わりに近づくほどに何気ない描写のほうが印象...続きを読むに残るのは何故だろう。 それほどまでに「死」を意識したくないということだろうか。 避けては通れない「死」、その不安に対して明確な答えはないけれど、どんな思いで迎えるのだろうかと考えてみることはできる。
間もなく死を迎える友人と共に暮らす私… 逃げ出せない絶望の核心を描く #ザ・ルーム・ネクスト・ドア ■あらすじ 作家である私は、若い頃にルームメイトだったこともある友人に相談された。友人は重い病気を患っており、間もなく死を迎えるらしい。そして彼女は心の準備ができたら薬を飲んで死ぬため、それまでの間...続きを読むは近くにいてほしいとのことだった… 悩みながらも承諾した私は、友人と暮らしながら死について見つめ直すのだった。 ■きっと読みたくなるレビュー 人生や死生観を見つめ直す物語。起承転結のあるエンタメ小説ではありますが、老いや死をはじめ、生き方、美意識、人間関係、子孫を残すことなど人生について深く突き詰めていく、もはや哲学です。 ストーリーの前半は、間もなく死んでしまう友人との向き合いつつも、生と死に関する様々な小説や映画などのエピソードが語られる。主人公の私目線での生きることの解釈が描かれていきます。 大学教授である元恋人との会話がさらに心を重くさせるんです。ファクトのみを人生の基準として考えているネガティブな価値観がきつすぎて溺れそうになる。安楽死についての議論も正論だけでは何も解決しないという事実に、ただただ虚しい。 友人の家族である夫や娘に関するエピソードも、リアリティがありますね。人生って、ほんとひとつの失敗から全ての歯車が狂ってしまう。友人の気持ちも、娘の気持ちも、至極当然のストレートで想いを秘めてて胸が痛いし、深いあきらめが悲しすぎました。 死を目の前にしても、不治の病という言葉すら聞きたくない。チャンスがあり希望があると信じ続けなければならない。絶望の中にも努力を強いられるってのは、もはや地獄でしかない。 そして一番の読みどころ。友人が湯舟に入りたいと言った後の展開ですよ、これが胸が張り裂けそうでした… 最もつらいことから逃げることができない現実が突きつけられる。死に向き合うとはどういうことなのか、絶望の核心を描いているんです。 死がテーマなので重厚感のある作品です。しかし終章まで読み終わると、決して辛いお話ではないことがわかります。また映画化もされているようですので、機会があったら拝見したいです。 ■私とこの物語の対話 死に直面すると、読書、音楽、映画なんてものは何の価値もなくなってくるという。これまでとは同じものに接している感じがせず、何もかもが無意味に感じるらしい。たしかに文化的なものは満ちた生命力や時間がある前提で力を与えてくれるものなのかもしれませんね。そして大好きな本をいつまでも読んでたいと思いました… 我々は老いや病のこと、そして必ず死ぬということをできるだけ考えないようにしています。生きてると楽しいことなんかより、むしろ辛いことばかりですよ。それなのに必死で一日一日を生きていくうち、着実に死に近づいているんですよね。 そう、だからこそ生きる上で一番重要なのは、大切な人の近くにいることなんです。いつも話を聞いてあげて、寂しいときは寄り添い、辛いときは支え合い、困ったことがあれば助け合う。人間は弱く、運命からは逃れられない… それでも、どんな困難にも向き合うんだ、やるだけはやらなければならない。 我々は天から命を授かったひとつの生物であり、別の生物のために少しでも辛いことを緩和させてあげることはもはや義務なのではないでしょうか。そう思うと、生きている価値があるような気がしてくるのです。
先に映画を観てしまっていたので、アルモドバルの脚色すさまじいな、と改めて感じた。 原作ではイングリッドの自意識や感情が打ち寄せてくるが、映画は二人の関係性がとても複雑な味わいで、透徹した世界観や深みを感じさせる傑作。
人の死という重いテーマの作品だけど、ユーモアもあり暗闇に沈むような感じはない。原題What Are You Going Throughは、フランスの哲学者ヴェイユの言葉から引用しているらしい。だから、作品が哲学的?映画版を観てみたい。
小説より映画の方がまとまっていて、好みでした。生とは?死とは?と考える状況になった時、思い出す1作になると思います。
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