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別れから七年後、紅の元恋人の潤吾の小説が日韓でヒットする。奇しくも父親の出版社が賓客として招いた潤吾は、紅に告げる。「この再会が最後のチャンスだということだけは分かる。この機会を逃したくない」捨て切れずにいた紅の愛が再燃する。再会の七日間、ソウルで愛の奇蹟は起こるのか?韓国人気作家が辻仁成と同時に描く傑作長編。
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Posted by ブクログ
(11.05.16) 潤吾と紅(ほん)。ユノとベニ。 肌の色も瞳も、髪の色もみんな同じなのに…日本と韓国との間に聳え立つ壁。今はどうなんだろうか。 国境を超えた愛とは。うーむ。
人がなんと言おうが私は運命というものを信じている。 奇跡もあり、偶然を装った必然もあり心から願うと豊かな宇宙の善が私を助けてくれるという途方もない信仰を私は持っている。 今、私の前に彼が近づいてくる。まるであの日桜の花びらの舞う中で、私にためらわずに近づいて落とした人形を拾ってくれたあの姿のまま...続きを読む・・・。 韓国人の紅と日本人の潤吾は7年前に日本で別れ、そして今韓国の金浦空港で再会をする。 辻仁成の「愛のあとにくるもの」の対になる作品。 辻仁成が潤吾の立場から描いているなら、こちらのコン・ジヨンの作品は紅の感情と視点で描いたモノになる。 江國香織との「冷静と情熱のあいだ」のみたいな感じ。 1つの恋愛をこうやって男女の視点から描く作品は発見が多いです。 ・・・大丈夫?と井の頭公園の池の前で彼に聞かれた。「大丈夫?」という日本語は韓国語の「ケンチャナ?」という言葉とちがって、不思議ないたわりのようなニュアンスがあった。 彼の声は傘に落ちる雨音より柔らかかった。とても心配そうな顔で大丈夫?と語尾をやさしくあげながら私に傘をさしかけ、顔を覗き込む。 小さな傘の中に二人の顔が入ると私はふと家の帰ってきたような安らぎを感じた。 変わらない愛を信じるかと聞いたのはそのせいかもしれない・・・。 潤吾が大好きになった韓国からの留学生、紅。その思いはほほえましい程伝わってくる。 →私は彼のポケットの中に入っていたかった。彼のポケットの中に入り、彼の行く場所にはどこでも一緒に行きたかった。 時々彼の手が私のいるポケットの中に入ってきて私はその指をいじりながら眠りたかった。 私もこの気持ちは「あ~分かるかも(笑)」と賛同せずにはいられない。 出会いとは突然に偶然にやってくるもの。そして恋におちるのも突発的で奇遇であるもの。 準備する必要はいらない。恋は流れに身をまかせればいい・・・・私は独自にこんな概念があるのだがそれを感じずにはいられない場面が以下。 →彼に出会ってからというもの、私はアーケードで一番有名なお店に並んでコロッケを買ってそれが冷めてしまうまで彼を待ったりした。私は彼を見たとき、切り取られた氷山の断面のような孤独に気づいたと彼に言いたかった。 「あら!?こんにちは。ちょうどコロッケを買ったんですけど、まだ温かいんですよ。お一つ召し上がりませんか?」私はこの文章を日本語で話せるよう練習した。 「偶然ですね。また会うなんて・・・。この前は本当にありがとうございました。」私はこの文章も練習した。 しかし神様は私にそんな偶然を許してくれなかった。桜の花が散ってしまうまで私は彼に会うことができず、池のベンチに座り、一人でそれを食べていた。 そんなある日遠くから来る彼の姿が見えた。自分でも分からないうちにかばんにあった人形を取り出して彼にあげたのは私の手にもう温かいコロッケがなかったからでもあるが、練習した言葉を一つも思い出せなかったからでもあった。 彼は人形を受け取り、私のほう向いて笑った。私も笑った。言葉など必要なかった。私の笑みと彼の笑み。それは通訳も練習も必要ない言語だったからだ。 そして私はその晩神様に祈った。 「神様・・・今日会ったあの日本人・・・格好良かったでしょう?寂しそうに見えましたがどうか寂しくないように祝福してあげてください・・・。」と。 出会いもあれば別れは連動している。別れ行く事情は人によってちがうもの。誤解が生じれば尚更。。 このレビューを読んでくれている人も必ずしも経験したことがあるだろう。 心が砕け散るあのつらい思いを・・・・。心がバラバラになってかき集めても、涙でそれらが目からまた流れ落ちてしまい、収集がつかないやるせない思いを・・・。 2人はどんなに互いに愛し合い、願っても、そんなに肌をあわせてもしょせん一つにはなれない。 一人で生まれ、一人で死んでいく孤立した生き物だと神様は決めてしまったから。 心から誰かを愛したら全宇宙の豊かさが私を助けてくれると頑なに信じていた。 問題は愛が愛そのものにそむくなどとは想像もしなかったこと。愛にも有効期限があるということ。それは愛の属性だったのにそれでも私たちだけは永遠だろうと、私たちにそう信じさせること自体が愛の持っているまやかしであったことを見抜けなかったこと。 別れが悲しいのは分かれた後になって初めてその出会いの価値に気づくから。 忘れるべき相手を忘れるのが辛いのは、その人の存在が空っぽの心の中で始めて輝くから。 自分の行動を後悔するのは、自分ばかりを守って相手からの信頼を失い、愛されないことよりも愛すことができないということに後になって気づくから。 紅は孤独だった。 歴史を重んじる祖国の家族の反対を押し切り、家族からの仕送りが止められても潤吾との生活を選んだ。 毎日できることなら彼の側にいたい。父と母から遠く離れて日本まで来ているのに・・・その彼も遠ざかっていた。 潤吾も貧しい学生だっだのが災いして、アルバイトをいくつもかけもちして生活費と学費を稼がねばならなかった。 紅はひたすら思った。 「潤吾が側にいてくれたら・・・。ここには父も母もいなくて貧しい私たちには携帯電話もないのに・・・」 彼女は潤吾がいない夜をとても怖がっていたのだ。 あるとき、紅の大好きな祖父が危篤状態になる。 紅は祖父がなくなる前に潤吾を韓国に連れて行き、紹介しようと決心した。 →私が彼のご両親に会って挨拶したように、彼を韓国に連れて行き、「おじいさん、この人良い日本人なんです。私たちの世代は昔と違うんです。」と胸をはって言いたかった。 そうすれば過去の両国の文化的弊害を感じている祖父もきっと理解してくれるだろうと思ったからだ。 それを話すために紅は潤吾に「聞いてほしいことがあるから久々に外食にいきましょう」と約束をとりつける。 しかし潤吾のアルバイトの関係でそれが取りやめというかたちになってしまうのだった。 しかも潤吾は連絡一つ寄こさなかった。 楽しみにしていた紅だったが、事故にでもあったんじゃないかと心配になる。 潤吾が帰宅後、2人の間には波乱が巻き起こることになるのだが・・・紅の気持ちがよく分かる。 紅の帰りを待ちわびている死の瀬戸際に立たされた祖父の顔がふと浮かんだ紅は耐えられなかった。 「もう、別れよう・・・。」と切り出したのは彼女だった。 辻仁成を読んでいると紅はワガママな子だなとも思ったが、やはり紅の思いを感じると2人の恋愛の難しさや大きさが伝わってくる。 7年後の再会で・・・またもどかしい悶着があるのだがラストは辻仁成版に揃えられていて・・・良い終わり方だった。 走ることが人生のすべてのようなものだった紅。留学時代は井の頭公園の池の周りを走ることで孤独と寂しさをまぎらわせていた。 ラストで潤吾は紅と走りながら言う。 「言葉でちゃんと説明していればこんな遠回りをしなくても済んだのに・・・。君と離れ離れになってから君の気持ちに近づきたくて走り続けてきた。こうやって走り続けたことであの時代に君がどんな気持ちで生きていたのか知ることができた。寂しさを拭い去るために君はずっと一人で走っていたんだね。本当はあのころ一緒に君と走るべきだった。僕は君の事を何でも知っていたようで実際には一番大事なものを見つめていなかった。思いやりが足りなさ過ぎたんだ。すまなかった。僕が悪かった。あの頃、君を孤独にさせて・・・」 身体がよろめいて、バランスを失った私の手が彼の手を握った。韓国人でも日本人でも西洋人でも誰もが持っている生命のぬくもり。 愛する人々だけが感じられる温もり。 私は彼の手をしっかり握って言う。 「いいえ、私達が悪かったのよ」と・・・。 悲しみと苦しさを噛み締めてきた長い道で2人は再会を果たし、やっと分かり合えた。 だから紅はまた彼のことを愛してもいいのだった。 愛しているからといって無理矢理好きな人を側にとどめておくことはない。 服の裾をつかみ、行かないでと泣きながら行ったとしても行く者はいってしまう。 会ってはいけない、もう会わないと決心したとしても・・・逢える定めなら逢えないことはないのだ。 出会いが偶然であるなら、再会もまた真なり☆
紅が潤吾を愛してくれていて良かった。 2人の間に溝ができてしまった直接的な原因…紅の心の変化…に注目。
辻仁成と対になる話。 子供だったからってわかっているんだろうけど それでも勝手な女だ。 先にこっちを読まなくてよかった。
で、こちらが「紅(ホン)」視点を描いた作品。 言葉なしに通じ合えるなんて奇跡なのかな。 やはり思いや気持ちは話し続ける・聞き続ける事が大切だと感じた。
辻仁成著『愛のあとにくるもの』の対。 『冷静と情熱のあいだ』もそうだったが、別れた後にひきずるのは男…という説を、こちらでも忠実に証明している。 韓国の人たちが抱く、日本人のイメージ。その一部も併せて知ることができた。
先日レビューを書いた 、辻仁成著「愛のあとにくるもの」の女性側の視点に立った作品。 相手の幸せを願いながらも願いきれない感じが切々と伝わってきた。 「彼に伝えてくれる? わたしは韓国の女で、韓国の女性たちは、自分を捨てて去る人に、赤いつつじの花を摘んで敷いてあげるのだと、それを踏みながら行きなさ...続きを読むいと敷いてあげるのだと」 (p201.) 韓国に、こんな奥ゆかしい文化があるとは... 私は、別れたことを後悔できるような男性に出会ったことがまだない。 かといってそういう出会いを求めていないことにも気づき、 冷めているなぁ…と苦笑いしてしまった。
辻仁成『愛のあとにくるもの』を読んで興味が湧き、紅の視点から描いた孔枝泳のこの作品も読みたくて購入。 良かった。久しぶりに胸打たれる物語に出会えた。 辻仁成版より好きです。 回想シーンも心情たっぷりに、感情の波がかなり描かれていて共感できる。 やはり再会はうまく行きすぎ?という気はするけど、それは...続きを読むやっぱり潤吾と紅の縁。 そこからのお互い不器用なやりとりも、もどかしい。 辻仁成版で、紅の結婚はきっと嘘ついたんじゃないかな。と予想してたので、的中してうれしい。 紅の気持ちが手に取るように伝わってきます。 潤吾のことが大好きな気持ちも、ヤキモチも、ミンジュンに話すたとえ話も、本当にかわいらしい。 紅の、少女のようなちょっと幼い様子が容易に想像できる。 7年前の紅は「ひょうたんの中に閉じこもったまま」という表現が素敵。よくわかる。 奇跡的な再会を果たして、よく一緒に行ったお店の人たちの様子・相手の家族の様子・周りの風景…変わりない?と聞きたい気持ちに駆られる紅は本当に心優しい女性だなあと思う。 紅が泣いて枝希に相談したとき、枝希からきたメールも素晴らしかった。 優しい優しいアドバイス。良い友達。 2冊とも、もう一回しっかり読んでみたい。 忘れられない人がいてもいいんだな、と思わせてくれました。
偶然この本を紹介され、女性側のものを先に手に取る事になりました 翻訳ものだということ、また場面展開が回想と現実が行ったり来たり・・・ですこし読みにくかったんですが、内容的には入りやすし作品です もう一方の辻さんのほうも読むつもりで急いで購入し、読み始めてみたら、う~~~んこれは男性側から読んだほ...続きを読むうが良いと感じ早速読破。 あっと言う間に読み終わりました。 韓国ドラマ・・・・によくありがちなストーリー展開を感じながら、結構イメージしやすい作品だと感じました。 今、女性側の視点のほうを読んでいますが、韓国から日本に来て、心細くもあった紅が、ほぼ一目ぼれのように潤吾という男性に落ち、純粋に愛し、思い切り甘え信じていく姿は、韓国女性のまっすぐで強い感情が表現されています。 微妙な心のすれ違いから離れてしまった2人が偶然に再会した時の、男性の気持ち、女性の気持ち・・・それぞれの視点で読み比べると・・・なかなか面白いな~と思います。 「冷静と情熱のあいだ」がこういう作風だったんですよね。 私はその作品は見ていないので良くわかりませんが、こういう作品の作り方は面白いですね。 ドラマも最近食傷気味だったので、こうやって活字から韓国ドラマのように引き込まれるのも、とても新鮮でいいなと感じています。 これは、映画化してくれたらいいな~~って思いながら読んでいます。 日本人が男性なんだけど、これは反対にして男性が韓国でもいいな そんなこと考えながら・・・
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愛のあとにくるもの 紅の記憶
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