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半世紀近く連れ添った夫婦それぞれの、百歳と九十二歳の母が、相次いで逝った。徳島に生きた女二人を回想しつつ、夫婦の歳月を思う表題作「梨の花咲く町で」ほか、老境の夫婦の黄昏のように穏やかな日々を描きながら、人の抱える不可思議な深淵を垣間みせる「火星巡暦」など、一篇一篇に人生の長い時間を凝縮させた傑作短篇集。
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Posted by ブクログ
「梨の花咲く町で」(森内俊雄)読み終わった。いやーまいった。すばらしく洗練された作品集である。うまく言えないが、なんかこう「シュッ」とした感じ。森内氏の作品を読むのはこれが初めてなんだな。ほかの作品を読んでみたくなった。
森内先生の作品を初めて手にした。 無駄なものをすべてそぎ落とした洗練された文章で,澄んだ水の中を漂っているような感覚に陥る。描かれている情景も,まるで写真でも見ているかのようで,素晴らしい作品でした。
短篇集だが,どの作品にもにじみ出る教養と素晴らしい登場人物が見られる.何気ない日々の中に高尚な行事が次々と出てくるのは,これまでの種まきの成果でしょう.
この老作家は、いとも簡単に時を飛び越えて、40年いや50年前の過去の情景を語り出す。その語り口は、今現在のことがらと過去の出来事を自在に絡み合わせて、独特の味わいをもたらしてくれるのだ。 熟練の作家が、少年の日々を語るとき、亡くなった人のことを語るとき、あるいは今世紀で火星が一番地球に近づいた年の...続きを読むことを語るとき、我々はこの作家の運転する古びたタイム・マシーンで、古い町並みの光の中を通り過ぎていくかのような気分になる。
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