Posted by ブクログ
2010年07月04日
全12巻。
オペラ歌手志望の2人の女の子が主人公。
史緒(しお)は、亡き母親がオペラ歌手、父親は元社長の根っからのお嬢様。
父親の会社が倒産したせいでお金はないけれど、その才能と美貌を買ってくれたレコード会社ジュニアの神野氏をフィアンセに得て前途揚々。
反面、プライドが高すぎて人となじめなかったり取...続きを読む引で婚約した直後に好きになってしまった人がいたりと、多少の苦難はあるが自分だけではどうにもできない苦労はなさそうな人。
かたや萌(もえ)はやっとの思いで得たコンクールの賞金を横取りしようとするようなアル中で借金だらけの母親を抱え、お金がないせいで設備の整った大学へ通えなかったり、学費のためにバイトをめちゃくちゃしなきゃいけなかったりとそりゃもうかわいそうなくらいの苦労人。
2人はイタリア留学をかけたコンクールで争い、史緒の出番直前、萌は
史緒に、
「あなたの母親はあなたのせいで死んだ」
と告げ、ショックを受けた史緒はぼろぼろ、優勝したのは萌。
萌は審査員の意表をつく演出のヒントを教えてくれた神野氏を好きになり、神野氏が史緒の婚約者であることを知って逆上、史緒の首を絞める。
萌は、自分の欲しいものを全て持っている史緒を妬んでばかりいる。
他人を貶めてでも自分が上に立ちたくて、自分自身を好きになることより、他人の評価が気になると言い切る。
これがわからない。
私は自己嫌悪に陥っているときがいちばん物事がうまく進まないし、
世の中には、どうしても自分より恵まれている人はいるものだ。
自分はそうではないのだから、そこは諦めて自分がその人より上に
あがれるようにがんばるしかない。
ひとをねたんだって、自分がますますみじめで情けなく思えるだけで、何の得にもならない。
エネルギー源にすらならない。
まして他人を貶めるなんて、自分の敷石が危うくなる種をつくっているようなものだ。
とわかってはいるものの。
最近萌の気持ちもわからんではない。
かといって、他人を貶めて自分が上がろうとは思わない。
そんな手を使わないと自分は勝てないのだ、最初からライバルとは実力に差があったという証明になりそうで嫌だ。
でも、もし自分が誰かに陥れられたら、全力で復讐しにかかる。
それこそ、どんな手を使っても、そいつの足を引っ張るだろう。
泣き寝入りなんて絶対しない。それだけはたしかだ。