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パルチザンとして闘争に身を捧げた父の突然の死。喪主として帰郷した娘だが、その葬儀には思いもよらない弔問客たちが次々と訪れる。人生の複雑さをユーモラスにたたえた、傑作長篇。
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Posted by ブクログ
父親がパルチザンであることによって父親との関係がよそよしくなった娘が父の死、葬儀をきっかけとしていろんな人びとと出会う、もしくは再会する。その人間たちを通して、娘が自分の知らない父親のよい人柄を知り、謙虚になって父親との和解を果たしていく。その過程がわたしの心に染み渡った。主人公は父親がパルチザンで...続きを読むあることに父との葛藤の要因を見ていた。しかし、後世よりも人間が情熱的だったパルチザンと彼らをめぐる韓国の現代史なしでもリアルに、そして普遍的に意味をもつ父と娘との誤解を描くその筆致には見事だと言うほかない。
“死んでもおしまいではないらしい、と私は思った。生は死によって、誰かの記憶の中によみがえるものなのだと。ということは、和解や赦しもまた可能なのかもしれなかった。”(p.220)
父親の友人知人と話しているうちに、こどもがそれまで反発していた父親の知らなかった一面を知って受け入れていく、というのは、映画『ビッグフィッシュ』に少し似ている。両親は元パルチザンなので、断片的に語られる過去の出来事は辛いことも多いが(特に父親の弟の身に起きたことは本当にひどくて悲しい)、おおむね軽い...続きを読む語り口でユーモラスに書かれている。そのせいか、特異な経歴の特別な家族のはずが、よくある親子の反発と和解の物語のように思えてきてすんなり読めてしまう。そして、じんわりと温かい気持ちになった後で、日本も大いに関係している朝鮮戦争やパルチザンについて、もっとちゃんと知っていなくては、と思った。
父が亡くなった。パルチザンだった父が電信柱に頭を打って亡くなった。一人娘のアリは喪主を務めないといけない。弔問客が来ると喪主が相手をする。この三日間で会ったことの無い人たちと会い、知らなかった父の話を聞いた。それはパルチザンとして闘争に入って、朝鮮戦争後も独裁政権のために牢獄に長いこと囚われていた父...続きを読むを知ることだった。その当時「連座制」といって本人以外の家族や親戚にまで法の統制を行った。そのために父の弟の人生は苦難に満ちたものになった。それを叔父は許せなく、父とは犬猿の仲となった。葬儀の期間、親戚一同、パルチザン時代を共に生きた人たち、両親と縁のある地域の人たちが次々に登場して父との思い出を語る。革命の為に生きた父は、縁のある人たちに手を差し出す人でもあった。たとえ自分たちにその余裕がなかったとしても…。
読んでみてお隣の国のことなのにいままで何にも知らなかったな・・というのが第一印象。考えてみれば南北の休戦が成立するまで当然北でも南でも内部で激しい闘いがあっただろうし、北はともかく南で元パルチザンとして戦後を生きていくことは大変だっただろうと思います。もちろん本人たち以外の親戚や実の”娘”にとっても...続きを読む自由に未来を選択できない状況に追い込まれたわけで、過酷な体験だったのでしょう。正直、軍事政権下ではまず出版できなかっただろうな、というテーマです。 頑固な元パルチザンの両親と”娘”の間にはどうしても溝ができてしまいますが、父の葬儀に集まった人々の話を聞くうちに溝は埋まっていき、娘は父を受け入れていきます。描かれているのは素朴で義理堅い、地域に根づいて暮らす人々で、左右の枠を越えて元パルチザンの”父”と強くつながっています。韓国で若い人々に受け入れられたのは高度成長で失われたものがこの地域には粘り強く生き残っていたためかもしれませんね。おすすめです。
最近、韓国文学にハマっていて、手に取った一冊。 パルチザンやその親族への連座制など、これまで自分が触れてこなかった負の歴史を垣間見た。現代から遠い実態は、ほんの数十年前のことであり、影響はまだ今も続くことに驚かされる。 筆者はパルチザンだった父の死で、これまでの父に対する嫌悪とは別に、弔問者の親戚や...続きを読む友人等から父の知らざる面や父らしい言動を聞き、改めて父への思いをはせる。 家族に嫌気がさしたり、田舎町の小さなコミュニティで面倒な関係がある反面、それを介して得られるものもある。筆者の実話を交えた語り口が、時には壮絶であった人生を達観している感じがあり、ふと自身や親の人生をなぞってみたくなった。
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