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人の心の痛みに感応し、丁寧に掘り下げていくことで、自意識との葛藤や社会との距離感を、豊かに表現した太宰治。人生の壁に打ち当たった時に読みたい一八作品の魅力を、縦横無尽に語りつくす。一挙に学ぶ。カラー口絵とともに理解のツボが一目でわかる図版資料満載。
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Posted by ブクログ
齋藤孝さんの優しい語口調につい、うんうんと頷きながら読んでしまう。 「若いうち」ということで、対象年齢は10代〜20代を想定されているのでなおさらそう感じるのかもしれない。 有名な太宰治。 けれど、小学校や中学校の教科書に出てくる作品くらいしかあまり知らず、その後読んだものはあまり多くない。 齋藤...続きを読む氏も言うように、どこかナルシストっぽく、自己顕示欲と、自己否定にまみれていて読んでいると暗い気持ちになりそうなイメージは私にもあったように思う。 でも、本書の解説を一つずつ読むに従って、また違った1面が見えてきたような気がする。 文章を書く人、芸術家という、自身の奥深く深くまで潜った人たちはきっとボロボロになってしまって、それでもその奥底から綺麗な、時には綺麗すぎてグロテスクでさえある言葉の真珠を見せてくれる。 身を削る、ということはなかなか出来るものではない。 「イメージ」で、彼ら(今回は太宰治)を読まないなんてもったいないことだ、と気付かせてくれる素敵な本だった。 近代文学というとなかなか触れる機会が無いので、時々ふとこの本を思い出して、少しずつ読んでいきたいなと思う。 近代文学史にも少し興味が湧いた。
私は、太宰作品を読んだことがないのですが、 読みたいと思わせてくれる一冊でした。 題名の通り、太宰作品の感想、紹介本なのですが、 私には、本作品の内容(著者の主張)が、 ・著者自身の読み込みが非常に深く、主観的なものか? ・誰もが太宰作品を読み、同様に感じることのできる客観的なものか? というのは...続きを読む、わかりません。 ただ、著者の主張には、共感できる部分が多かったです。 例えば、 ・+思考とは、自分本位なものではなく、痛む心を抱え続けながら、 前向きに生きることである。そのような生き方には、自分の行為に 反省し、他人の痛みや苦しみに対する想像力が大切である。 ・自分の自尊心と付き合うのは難しく、上手く付き合わなければ、 精神のバランスを崩す。 ・(若いうちは、)自尊心が膨らむ一方で、焦燥感がつのり、 余計に自分を苦しめてしまうものだ。 ・自分の幸福感に基づいて力強く生きる。 ・人をだましたり、ずるをしない生き方がとても大切。 です。 読んでいて、気持ちが軽くなり、優しくなれる一冊でした。 著者曰く、太宰作品は、社会的ポジションが定まっていない不安定な 10代、20代に読むべき作品とのことでした。
太宰治の魅力を端的に理解しやすく書かれている。 小説を小説で紹介することで、原点とは少し違った観点で太宰治という人物を知れたが、次は自身で太宰治という人物と小説を読み会話したいと思った。
古書店、最安価の棚にて。 どこかの学校の副読本だったのかな。ならば幸せな学校。 確かに、10代前半で太宰治に巡り会ったのは幸せだったかも、と半世紀近く経ってしみじみ思う。
走れメロス!「メロスは激怒した」 太宰作品を真剣に読んだことはない、しいて言えば 「走れメロス」だろう、短編にステキな作品がある模様 こんどまとめて読んじゃうよ!とても参考になりました。
『女が読む太宰治』と同時刊行。 多作の著者なので、どこかで書いたネタを、角度を変えて展開している本も多い。だが本書は、1人の作家に絞っての展開で、生きかた論を加味したよい解説本になっている。 著者自身が太宰を愛読したことがよくわかる1冊。
読み取るべきポイント、考えるべき問題が提示してあってなるほどと思った 太宰は教養として読んだ方がいいんだろうなって思ってたけど、今の歳だからこそ読んでみたらこの先の人生のひとつの鍵というかアイテムとしてふとした時に拠り所とまではいかないもののなんかひっかかりになるのかなって思った
読んでよかった。 センチメンタル(感傷)との付き合い方、自分はもっとできるはずなのにというくすぶり、足跡を認めてほしいという思いを否定しない、むしろそうした太宰治の苦しみを若いからこそ共感でき、そうした思いをくぐり抜けてこそその人の魅力が増すという作者の考え方が好き。もちろんそれは、ながく研究者と...続きを読むして?芽が出なかったらしい作者の齋藤孝も肯定することを意味する。「新樹の言葉」「満願」あたり読んでみたい。
齋藤センセイの太宰治紹介本 ヒリヒリしてぐだぐだ悩む10代20代がうってつけらしい 悩むときにとことん悩んでふかーく考える時期にふかーく考えると人間的に深みが出るそうです けっこう太宰治は読んでると思ったけど 知らない短編もあったり 色々よみたいなーとおもった あとどうしても内容やあらすじにめ...続きを読むがいっちゃってるから 日本語がうまいというそういう観点からも読みたいと思った
著者の身体論・教育論で読み解く太宰治解釈として興味深く読みました。 『新樹の言葉』の最後で、家が焼き落ちたときに乳母の子どもたちが微笑んだのを目にした主人公が「力こぶ」を入れるところに着目しているのは、この著者らしい着眼点だと思いました。この物語の主人公は、これまで筋肉にまったく力が入らない、腹が...続きを読む定まっていない生き方をしてきたと著者は言います。ところが、急に現われた兄妹を前にして、初めて兄になれたという感覚を抱くことになり、全身に力が入ったのだと著者は考えます。主人公のアイデンティティの形成が、力こぶを入れるときの身体感覚に象徴されていることを見て取り、そこに「さわやかさ」が感じられると著者は指摘しています。 また、『走れメロス』では、話の筋よりもその日本語の奔流に身を任せることが重要だとされています。著者が以前、自作のカルタを幼稚園で用いたとき、園児がいっせいに「メロスは激怒した!」と叫んだのを見て、「日本も変わるかも」と思ったというエピソードが紹介されていますが、こうしたエピソードを通じて『走れメロス』の日本語が持っている力を示したのも、この著者ならではという気がします。 その他にも、「人間世界の中でちゃんと生きたいのに、それができないもどかしさや、まともに生きたいという切望が彼〔太宰〕の本質」だという視点から、『人間失格』『斜陽』『トカトントン』『ヴィヨンの妻』などの代表作を読み解き、若者の人間形成の優れたモデルを取り出しています。
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