Posted by ブクログ
2015年07月25日
大塚英志と藤原カムイのおそらく初めての顔合わせではないでしょうか。角川の「野生時代」というエセ文芸誌に連載されてるんですが、ストーリーはなかなか秀逸で、60年代に起こった3億円事件などの実際の事件や時事ネタを通して、当時の若者(ヤングメン)のなんだかもどかしい日常が描かれます。
これまで柳田国男や...続きを読む折口信夫のサーガをやってきましたので、この辺の話はお得意ですね。
日本赤軍の永田洋子や三島由紀夫などの実在する人物を下敷きにしていますが、タイトルの元ネタは大江の「われらの時代」に出てくるジャズバンドの名前らしく、ここでも大江健三郎がネタとして使われています。
この作品はこれまでの大塚作品の中でもっとも大人っぽい作品となりそうです。かなり文学的で、石川啄木の詩を引用するあたりは、他の大塚作品にない雰囲気さえあります。しかし、1話のページ数の少なさで一気に読まないとわかりづらいストーリー展開のため、ぜひ早く単行本で見たいものです。
藤原カムイいわく、「いよいよ物語も終盤を迎え、残すところあと数話」らしいので楽しみに待ちたいものです。