早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか

早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか

1,320円 (税込)

6pt

4.7

生誕100年に紡ぐ、「理論物理学の巨人」の初めての本格的伝記!
――南部理論の前では、2012年に発見され「質量の起源」として喝采を浴びた
ヒッグス粒子も、巨象にひれ伏す小さなアリでしかない。――(本書より)
日本が生んだこの途方もなく大きな才能は、常人には理解しがたく、そのため、彼の生涯最高傑作
「自発的対称性の破れ」にノーベル物理学賞が授けられたのは発表後50年近くがたってからだった。
いつしか彼は、人々から「魔法使い」とも「予言者」とも呼ばれるようになった。
これまで語られなかった天才の実像を浮き彫りにし、「南部マジック」と呼ばれる数々の新理論は
どのように生まれたのか、そこに彼の「人間」はどう関わったのか、彼はなぜ米国に移ったのか、
などを解き明かす。

〔成功と失敗が交錯する南部陽一郎の生涯〕
・素粒子物理を志していたのに、物性物理の講座しかない東大にうっかり入学してしまったことが、
のちの「マジック」の種になった。
・留学したプリンストン高等研究所では成果が出せず絶望状態に陥り、日本では教授職にあったのに、
「ポスドク」扱いでシカゴ大学に移った。
・シカゴ大学で出会った物性物理の新理論が気に入らず、いらだち、しかしやがて恋に落ちたことで
生まれたのが「自発的対称性の破れ」の理論だった。
・発表前に新理論の内容を明かしてしまい、ほかの研究者に先に論文に書かれるという痛恨のミスを
犯した。
・90歳になっても、宇宙を記述する理論として流体力学に関心を寄せ、その研究に情熱を傾けていた。

「自発的対称性の破れ」「量子色力学」「ひも理論」などの新理論のなりたちを理解しながら、
生涯、現役の科学者を貫いた生き方に心打たれる、「科学」を忘れつつある日本人必読の書!

(目次)
第1章 福井の神童
第2章 東大理学部305号室の住人
第3章 天国か地獄か、米プリンストン
第4章 自発的対称性の破れ
第5章 南部理論が生んだヒッグス粒子と電弱統一理論
第6章 クォークめぐるゲルマンとの対決
第7章 ひも理論VS量子色力学
第8章 「予言者」南部とノーベル賞
第9章 福井新聞記者が見た南部の素顔
第10章 生涯、現役の科学者

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早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年12月16日

    早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか。中嶋 彰先生の著書。才能あふれた天才研究者は時代の先の先をいくから周囲から理解されにくい。才能あふれた天才研究者は時代の先の先をいくから周囲から変人扱いされてしまうこともある。でも才能あふれた天才研究者は本当に優れた研究成果を出すためには周囲の理解...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年10月25日

    尊敬してやまない南部先生の一生について深く知ることが出来た。今までは南部先生の研究成果ばかりを見ていて、南部先生ご自身のことについては深く知らなかったし、研究成果か凄すぎて本当に同じ人間なのかと疑いたくなっていたが、この本を読むことでごく普通の人としての側面が見えてとても良かった。
    研究内容について...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2022年10月01日

    南部陽一郎の半生を彼の研究成果と共に追っていく。
    素粒子物理学についての入門書を見ると、いかに南部が凄いかが書いてあることが多く、元々興味があったので、ワクワクしながら読んだのだが、なんせ難しい。彼の研究内容に関してはちゃんと理解しきれなかった。
    彼が、素粒子物理学の世界の発展に多大な影響を与えたこ...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2022年01月12日

    主人公である南部陽一郎がノーベル賞を受賞したとき、日本人でありながら米国国籍ということが気になったことを覚えている。本書はそんな南部陽一郎の伝記で、彼が米国国籍を取得した理由についても解き明かしている。そして、彼の卓抜した思考力・洞察力を称賛するだけでなく、その穏やかな人柄、苦労したエピソードなども...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年12月05日

    一流の物理学者の伝記を読むのが三度の飯より好きです(笑)。南部陽一郎は最近まで存命だった理論物理学者ですが、彼の人生については初めて知ることばかりでした。シカゴ大学に赴任したときは有名な研究者ではなかったのですね。論文の数も少なかったけど、彼のボスが彼の才能を見抜いてすぐに准教授にしました。世界に知...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年11月28日

    ノーベル賞まで最短の距離にいると思われながら、どれほど長く待たされたことだろう。
    そんな思いを確信させられるドラマのような人生。
    自発的対称性の破れ、量子色力学、ひも理論、どれも時代の先を行き過ぎた思考、その難解さに理解が追随されず、孤高の研究を重ねたことだろう。
    最先端の素粒子物理学をたどるととも...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年11月03日

     読みやすくとても良い本だった。

     南部先生というと、天才というイメージだが、怠け癖があって朝家を出て出勤せず映画館で映画を見ていたり、プリンストン研究所時代は成果が出ずうつうつとしていたり、人間味ある一面がわかってよかった。
     南部先生というと、私は素粒子論の方というイメージだったが、実は東大の...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年11月25日

    2008年ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんの評伝です。受賞テーマは「自発的対称性の破れ」だったのですが、当時いくらニュースでかみ砕いて説明を聞いても良く分かりませんでした。そのテーマを正面から扱った本を読破する自信がなく、南部先生の評伝なら何とかなるかなと思って読んでみました。
    「自発的対称...続きを読む

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    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2022年04月14日

    遊びをせがむ子供に言った言葉、「お父さんはお休みで忙しい」が傑作!寝転がっていても頭の中は高速で数式が展開されているらしい!そんな南部のノーベル賞受賞は本当にギリギリのタイミングだった。現在の物理学の主流になっている数々の概念を創始した南部に、ノーベル賞を与えなければあまりにバランスに欠くとノーベル...続きを読む

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