【感想・ネタバレ】早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたかのレビュー

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早すぎた男 南部陽一郎物語 時代は彼に追いついたか。中嶋 彰先生の著書。才能あふれた天才研究者は時代の先の先をいくから周囲から理解されにくい。才能あふれた天才研究者は時代の先の先をいくから周囲から変人扱いされてしまうこともある。でも才能あふれた天才研究者は本当に優れた研究成果を出すためには周囲の理解も周囲の偏見も気にしない。凡人にできることは才能あふれた天才研究者の邪魔をせずに見守ること。

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2022年12月16日

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尊敬してやまない南部先生の一生について深く知ることが出来た。今までは南部先生の研究成果ばかりを見ていて、南部先生ご自身のことについては深く知らなかったし、研究成果か凄すぎて本当に同じ人間なのかと疑いたくなっていたが、この本を読むことでごく普通の人としての側面が見えてとても良かった。
研究内容については一般向けに簡単に書かれていたので、これから専門書でより詳しく調べていこうと思う。特に場の量子論を勉強していく上でとてもやる気が湧いてくる内容だった。
この本に出会えてよかった。

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2022年10月25日

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南部陽一郎の半生を彼の研究成果と共に追っていく。
素粒子物理学についての入門書を見ると、いかに南部が凄いかが書いてあることが多く、元々興味があったので、ワクワクしながら読んだのだが、なんせ難しい。彼の研究内容に関してはちゃんと理解しきれなかった。
彼が、素粒子物理学の世界の発展に多大な影響を与えたことが、様々なエピソードでわかる。中身わからなくても面白い。

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2022年10月01日

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主人公である南部陽一郎がノーベル賞を受賞したとき、日本人でありながら米国国籍ということが気になったことを覚えている。本書はそんな南部陽一郎の伝記で、彼が米国国籍を取得した理由についても解き明かしている。そして、彼の卓抜した思考力・洞察力を称賛するだけでなく、その穏やかな人柄、苦労したエピソードなども盛り込み、研究者としてだけでなく、人間としての南部陽一郎を描き出している。
素粒子物理は、目に見えないこともあり、理解が難しいが、物理学ことばはじめと称するコラムでの解説を含め、何となく分かったような気にさせてくれる。難しい本かと思ったが、読みやすい伝記であり、面白かった。

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2022年01月12日

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一流の物理学者の伝記を読むのが三度の飯より好きです(笑)。南部陽一郎は最近まで存命だった理論物理学者ですが、彼の人生については初めて知ることばかりでした。シカゴ大学に赴任したときは有名な研究者ではなかったのですね。論文の数も少なかったけど、彼のボスが彼の才能を見抜いてすぐに准教授にしました。世界に知られた大きな仕事をしたのはそのあとです。スタンフォードやMITから声がかかったけど、シカゴ大学に奉職し続けます。シカゴという場所が住みやすかったようです。

奥さんとの馴れ初め、初めての米国留学(プリンストン高等研究所)での挫折、次男の早世などとても興味深く読みました。シカゴ時代の彼の周りに集う綺羅星のような物理学者たち。眩しいです。晩年は阪大(私の母校)に研究室を持っていたとは。

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2021年12月05日

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ノーベル賞まで最短の距離にいると思われながら、どれほど長く待たされたことだろう。
そんな思いを確信させられるドラマのような人生。
自発的対称性の破れ、量子色力学、ひも理論、どれも時代の先を行き過ぎた思考、その難解さに理解が追随されず、孤高の研究を重ねたことだろう。
最先端の素粒子物理学をたどるとともに、南部さんの人間性を感じられる伝記の進め方に、全編をとおして暖かさが感じられた。奥さんとの出会い、家庭の雰囲気、長男との葛藤や次男の不幸が重なりながらも、充実した人生を全うされたことが伺える。
南部チルドレンと呼ばれる弟子たちが、その功績を纏め上げた注力の先に、ノーベル賞受賞の重き扉がようやく開いた。最も印象に残った言葉は、子供たちが横になって休んでいる南部さんに、遊びをねだるが、「いま、お父さんはお休みで忙しい」と断った。南部さんの頭の中では、何もしてないときが全開である。こうした思考モードが偉業につながる、天才の証左だろう。

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2021年11月28日

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 読みやすくとても良い本だった。

 南部先生というと、天才というイメージだが、怠け癖があって朝家を出て出勤せず映画館で映画を見ていたり、プリンストン研究所時代は成果が出ずうつうつとしていたり、人間味ある一面がわかってよかった。
 南部先生というと、私は素粒子論の方というイメージだったが、実は東大の学生時代は東大では当時素粒子の研究室がなく物性物理を学んでおり、当初はイジングモデルの研究などをしており、これが後の成果にも繋がったというのが意外だった。そして物性理論を素粒子論に持ち込み成果をあげたとのこと。そして90を過ぎた晩年は流体力学を研究しているという幅広い分野に興味を持っている方というのが素晴らしい。
 また、世界で活躍する日本人物理学者が多数出てきて、改めて物理学における日本人の活躍がわかって誇らしい。

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2021年11月03日

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ネタバレ

遊びをせがむ子供に言った言葉、「お父さんはお休みで忙しい」が傑作!寝転がっていても頭の中は高速で数式が展開されているらしい!そんな南部のノーベル賞受賞は本当にギリギリのタイミングだった。現在の物理学の主流になっている数々の概念を創始した南部に、ノーベル賞を与えなければあまりにバランスに欠くとノーベル賞委員会も焦っていたのではないかとの事情も透けて見える。また米国籍を取らざるを得なかった事情も心を打たれた。

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2022年04月14日

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2008年ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎さんの評伝です。受賞テーマは「自発的対称性の破れ」だったのですが、当時いくらニュースでかみ砕いて説明を聞いても良く分かりませんでした。そのテーマを正面から扱った本を読破する自信がなく、南部先生の評伝なら何とかなるかなと思って読んでみました。
「自発的対称性の破れ」に関しては結論としては理解できなかったのですが、南部先生という人が物理学界でいかに突出した存在であって、本来ならもっと早くノーベル賞を受賞すべき存在であったことが良く分かりました。また、実績を上げるまでに大変苦労をされた経緯や、自らの功績を論文で発表する前に公表してしまい、その功績が他の研究者の功績とされてしまった失敗談など、南部先生の人間臭い一面も描かれています。
南部先生は1960年代~80年代にかけて主に業績を上げられていますが、その間に南部先生が関わりをもたれた研究者として湯川秀樹、朝永振一郎、アインシュタイン、オッペンハイマー、小柴昌俊、益川俊英、小林誠、などなど錚々たる顔ぶれです。
南部先生が取り組まれた素粒子物理学の研究内容を理解するにはいくらブルーバックスでも1冊では無理だと改めて実感。そこの理解は諦めて、日本にこんなにすごい研究者がいたのだ、ということが感じられれば良しとするならば一読の価値はあると思います。
科学ジャーナリスト賞2022 優秀賞 受賞作品です。

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2022年11月25日

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