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Posted by ブクログ
「二人の読書会」を読んで向井さんの優しい文章が好きになってしまった。最近、読書会に興味があることもあって、本書は良いことづくしの大好物だった。
本書は読書会のノウハウが実例と共に示されている。明日から読書会を主宰しようと思ったらこれを真似たらいい。ただ、単に実用的なだけではない。各事例で取り上げた本の書評、読書会で出た意見、メンバーでの感想のやりとりなどが盛り込まれていて、積読が止まらなくなる。
古典は普遍的な人生のテーマが凝縮していて歳を重ねるごとに面白みが増していくのかもしれない。そして、それはひとりで読むより仲間と時間と感想を共有して読むことでより貴重な体験になる。
まずは仲間を見つけなくては。
Posted by ブクログ
本書のレビューを書く前に、とても情けない身の上話をさせていただく。
私は2年前に社内読書会を立ち上げて、月に3回のペースでスケジュールを組んでいるが、参加者が集まらない。そしてメンバーが定着しない。ドタキャンする人もいる。いつも最低4人集めるようにしているが、予定通り開催できるのは2回に1回程度。いろいろな人に声をかけて、宣伝メールも送るのだが、無視されることも多い。自分よりずっと下の後輩社員にすら、無視される。職場の中で、わざと私に聞こえるように「読書会?そんなもの出て意味あるの?飲みに行かない?」「読書会って、意識高い系を狙ったねずみ講なんでしょ?」と大声で話す輩もいる。
もともと神経は図太いタイプなのだが、さすがにこのような日常が続くと、なんだか気が落ち込んでくるものである。そんな自分を何とか奮い立たせるために手に取った一冊。筆者は35年も続いている読書会に、29年間通われたそうだ。そしてご自身も司書として働きながら、若者たちの読書会を主宰されている。それだけ長ければメンバーの入れ替わりも激しいだろうと思いきや、固定メンバーが多いらしい。
てっきり読書会の運営ノウハウや新規メンバーの増やし方が書かれているのかと思ったが、普段参加されている読書会でのやり取りや、筆者ご自身の「人生の振り返り」を綴った内容であった。ただし、ページをめくるにつれて、静かに、そして丁寧に、年月をかけて積み重ねてきた筆者の人間的な魅力が、じわじわと伝わってきた。「本について語り合うことは、人生について語り合うこと」という筆者の決め台詞に、私は一気に引き込まれてしまった。個人的には、何十年も続けている茶道に続いて綴った『日々是好日』を読んだ時のような感覚である。
「去る者追わず」「誰彼むやみに誘わず」「大事な想いを人に話したいが、分かりあえる少人数だけでいい」という、筆者の読書会に対する距離感は一見中途半端に見えるが、程よく心地よいものでもある。筆者にとって読書会とは、大事な箱入り娘のような存在なのだろうか。
「急用ができた」「仕事が忙しくて読む暇がない」「1人で読むほうがいい」などなど、読書会に参加しない(本を読まない)言い訳は、いくらでも作ることができる。その小さな積み重ねによって、読書会から足が遠ざかる。そんな振る舞いが、不思議と他のメンバーにも伝播するので、会員が1人1人と減っていく。会費は無料だが、事前に時間をかけて本を読んでこないといけない読書会より、お金をかけてでも、同世代の若者と飲み会やデートに行く方が魅力的なのかも知れない。そんな風に感じるお年頃であってもしょうがないのだ。そして、一生読書会に来ないかもしれないし、数年経ってある時、ふと戻ってくることもありうる。
名著を読んで、自らの言葉で感想を述べるだけなのに、新たな発見と感動がある。そして家族のように人生かけて付き合う仲間がいて、本当にうらやましい。30年も継続するわけである。
それに比べて、毎回参加者の人数を見てクヨクヨしている自分なんて、吹けば飛ぶような、チョロい人間である。周りがどんな噂をしようと、奇異の目で私を見る奴がいるだろうと関係ない。これまで1回でも参加してくれた社員に感謝しつつ、私は読書会の看板を掲げ続けていく。
若手社員たちが、読書会に興味を持ってもらえず、リピート参加してもらえなくとも、長い人生のどこかで、ふと「読書会やっていたな。まだやっているのかな。」と思い出す瞬間があると信じて、細く長く、灯を消さずにいるつもりだ。読書会を辞めたくなったときには、この本を再読すれば良い。
そして私が老後になって、読書会を継続しようと躍起になっていた記憶を、酒の肴にできるくらいには、日々粘り強く開催していこう。
Posted by ブクログ
コロナ禍の中で友人とzoomで一つの本を一緒に読む、という体験から読書会に興味を持ち、晶文社「読書会の教室」を読んで、ますます、もっとやってみたいモードが高まっているタイミングでの岩波新書。題名も「読書会の幸福」ってホンワカムード。でも中身は超ハード。のっけから子供時代が両親の不仲で地獄だった話。文体も柔らかくて、しかも読書会の体験記や読書会の運営のノウハウや、読む前にこちらが期待していた構成もちゃんと盛り込まれているのですが、そういう気軽さを覆いつくす、本と人生の熱い物語。著者の人生。なにせ「もしかしたら、わたしがこれまで人を殺さずにいられたのは、本があったから、そして読書会があったからだと言ってよいかもしれない」ですから。読書会の数少ない男性メンバーのTさんのエピソードは、まるで短編小説のようだし、現在のパートナーとの関係もそこまで書く?ということをスルッと紛れ込ませてくるし…恩師や父親の最期の話もグッときます。まさに生きることは文学を読むこと、読んだ文学について人と語らうことは生き延びること、という文学の力を感じました。まさに章のタイトルになっている「文学に生かされて」の迫力。著者にとっての「読書会の幸福」は「読書会に生かされて」という意味なのだと合点しました。この著者、やさしい文体でも結構、凶暴です。カズオ・イシグロ「日の名残り」で丸谷才一の誤読にも噛みついているし…それにしても巻末についている1987年からの読書リストの豊饒さよ。文中に出てくる「ぼくはこのほとんどを読まずに死ぬのか…」このつぶやきは自分のつぶやきでもあります。
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