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Posted by ブクログ
1889年に開設され、2010年に現在の姿に建て替えられることになった歌舞伎座に、60年にわたって通い数々の演技を見てきた著者が、その記憶を振り返っているエッセイです。
著者は、本書のなかでしばしば「私は歌舞伎座の歴史を書くつもりはない」と述べており、あくまでエッセイとしてのスタイルを崩してはいないものの、著者ならではのするどい批評が随所に示されており、役者たちによって歌舞伎座の舞台がつくられてきたことがていねいにえがき出されています。
なお、興味深く感じたのは、蜷川幸雄演出の『リア王』と、野田秀樹演出の『愛陀姫』について述べられているところです。著者は、これらの試みが歌舞伎座の「批評」の役割を果たしていると指摘し、「歌舞伎座を上演するのに、もっともふさわしく、もっとも重要な規範であった歌舞伎座という劇場そのものの実体もあきらかになった」と述べています。作品そのものが批評性をもちうるという指摘はむろん興味深いものですが、ここではそれが劇場のありように対する批評として解釈されていることに意外性を感じます。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
歌舞伎座は平成二十二年春、建替えとなって、親しまれたあの建物が東銀座から消える。
五歳になった昭和十六年から歌舞伎座に通いはじめて、六代目菊五郎、初代吉右衛門はもとより戦後再建された歌舞伎座五十八年間の舞台はことごとく見てきた。
そんな劇評の第一人者が、魔ものが棲むという劇場でくり広げられる祝祭と、数々の名舞台をふりかえる。
[ 目次 ]
魔性の棲家
改良座
劇場の顔
歌舞伎座再開場
「源氏物語」と歌右衛門襲名
吉右衛門の花道
莟会の熱狂
人間国宝の会
二人の名女形
「黄金の丘」〔ほか〕
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