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「海道一の弓取り」と称された今川義元。幼いころに仏門に出され、師父・太原雪斎とともに京都での学びの日々を送っていた栴岳承芳(のちの今川義元)は、兄・氏輝に呼び戻され駿府に戻る。やがて氏輝は夭逝、還俗し家督を継ぐことになった義元に、同じく仏門にあった兄の玄広恵探が対抗、『花蔵の乱』と呼ばれる家督争いが起こる。心を鬼にしなければならぬ――仏の道を捨て今川家総領としての道を選んだ、若き日の義元に焦点を当てた長篇歴史小説。
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Posted by ブクログ
青年の頃の義元と、その人を取り巻く状況が丁寧に描かれている。 私は桶狭間の戦い以降の戦国時代に触れる機会が多かったので、本書を通してそれ以前の歴史に触れることができて良かった。 総合的な印象としては、「義元がいかにして当主の座についたか」に焦点が当てられているため、栄華からの死への展開が急な感じは...続きを読むした。しかし、このたった一冊で義元の生涯を味わえたので、その満足感は大きい。
今川義元が家督を継ぐまでの話がメイン。 その後、儚くも信長に討ち取られるまでは早い早い。 戦国武将たちにあまり関心はないが、それぞれの思惑があって、歴史小説は面白いと感じる。 今作では義元よりも、義元を支え、ある意味唆して家督を相続させた太原雪斎の人物像や、義元との関係性が印象に残った。 兄弟同...続きを読む士で争わなければならないことの葛藤が細かく描かれている。 帯にあったような海道一の弓取りという言葉はあまりピンと来なかったが、戦場での活躍ではなく、家督争いをテーマにしていること、また天下をとることが平和の実現につながっていること、同じ志でありながらも、争わなくてはならない戦国の世のあり様は辛い。
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