作品一覧

  • 死にゆく妻との旅路

    死にゆく妻との旅路

    小説・文芸

    3.4
    1巻407円 (税込)
    高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくとも充実した日々を送っていた。が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時、私は妻のガンを知った……。「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった――。

ユーザーレビュー

  • 死にゆく妻との旅路

    Posted by ブクログ

    不況の影響で工場の経営も苦しくなり、しかも知り合いの連帯保証人になったため、その借金までも

    背負い込んだ筆者。

    自分の今の状況をなかなか受け入れられないダメさかげんはきっと誰もが持っているもののように思います。



    本当は自己破産しなくてはいけないのに

    小さな頃のお母さんとの約束を気にして、なかなかそれに踏み出せない・・・・・

    読んでいて、歯がゆさも感じながらも愛さずにはいられない朴訥とした筆者の姿がそこにはあります。



    そして、がんを患って、手術を終えた後の奥さんとの車での旅。

    生活が軌道にのっていた頃には、通いあわなかった夫婦としての気持ちが

    この9カ月の旅の中で徐々に通いあっていきます。



    妻はがんが再発し、どんどんと弱っていても車での生活を続けます。

    病院へ行くのを拒んだのは妻の方でした。

    それでも強制的に病院へ連れていけないのは貧困が理由でもありました。



    妻はとうとう動けなくなり、しもの世話も筆者は続けながら

    車での生活を続けていきます。

    そこには、昔では信じられないような、通じあえた夫婦の姿があります。



    お互いに着飾って、豪華なパーティーをして

    ほほ笑み合いながら始まった夫婦のスタート

    でもそこには『夫婦』と呼べるもののかけらもないんだと僕はあらためて思いました。



    そして、夫婦と娘の関係、この本の中には



    「お父さんはもう疲れてしまったかもしれないけど、今から始まるのです。

    私のお父さんはどこまでがんばれる人なのか。

    どこまで耐えられる人なのか。

    お父さん、強い親子になりましょう。今からが世間と勝負。





    という娘が父に送った手紙の文面に

    ああ、この本はこの娘の力で生まれたかと思った。

    なるほど、この本は夫婦の道行き、男女の道行きを語っているが

    そればかりでなく、家族というものが

    最悪の状況におかれた時、だれがどのような役割を果たせばいいかを教えてくれる。





    ・・・と書評にあります。

    これは家族の旅でもあったのです。



    死にゆく妻との旅路の中で、夫婦は真の夫婦となり

    妻がなくなり、父は娘のもとへ帰った。

    そしてここでも真の家族となったのだと思います。



    家族に行き詰った時、絶対にオススメの1冊です。

    映画化もされます。

    ぜひ、映画を観る前に読んでください。

    0
    2011年01月08日
  • 死にゆく妻との旅路

    Posted by ブクログ

    とっても良いです。当事者の手記なので文章がうまいとか、そういうことでは無いのですが、伝わってくるストレートな気持ちに泣きそうでした。エピローグを読むと、人生は死ぬまでピリオドが無いのだなと思います。

    0
    2009年10月07日
  • 死にゆく妻との旅路

    Posted by ブクログ

    ・妻には十分なことをしてやった、なんてその時に言える男が一体どのくらいいるんだろうか。などと思いそこで考えることをやめる。

    0
    2013年01月29日
  • 死にゆく妻との旅路

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    実際にあったことを、手記とした書かれたものです。月刊誌「新潮」に連載されたのを、多くの方の希望で1冊の本として出版されました。


    亡き妻への哀惜の手記。


    会社が傾き、自己破産への道をたどった夫。妻は一回りも年下。一緒に縫製の仕事をしていたが、妻の体はガンに侵されていた

    手術をしたが、早ければ3カ月で再発の可能性があると言われます

    夫は金策と妻の病気から逃れるように、一時期行方をくらましてしまうのです。

    夫の帰りを待つ妻は、心細い思いをし、家を出た夫は全てを捨てて死のうとまで思います。


    しかし、結局は妻のところに戻ります。そして、今度は妻を連れて、逃亡の日々を送ることになって行きます。

    車に少しの荷物を積み、所持金は60万。日本海側を、仕事探しながらの旅が始まりました。

    そこで、感じたもの、観たものは今までのどんな時に感じたものより、美しく、暖かく夫婦の心にしみていきます。

    妻は夫をオッサンと呼びます。夫は妻を・・・・初めて名前で呼ぶようになります。


    長い旅の後半、妻はドンドン体力が落ち、話すこともままならず、そしておむつの交換も夫が・・・。

    医者に行こう・・・・いやや、オッサンと離れたくない。

    この繰り返し。

    夫は、途中で妻を観るのが辛くで逃げ出したくなった事もあったのです。


    そして9カ月・・・・妻は、夫がちょっと離れた間に息を引きとります。


    辛くても、愚痴一つこぼさず、オッサンのそばに居られたそれでいいと・・・。

    夫も、長い結婚生活で、初めて妻の存在を身近に感じ、愛おしいと接した9カ月でした。





    お金が無いから病院に行かなかった・・・それだけではないのでしょうね。

    実際、ここまで追い詰められたことが無いのですから、気持ちを分かるはずもないのですが


    これを読みながら、夫婦の愛を考えさせられました。

    友和さんをイメージし、妻は石田さんのイメージで、一気に読みましたが本当に素晴らしいキャスティングだと感じています。


    夏の公開が待たれる作品です。

    0
    2011年06月04日
  • 死にゆく妻との旅路

    Posted by ブクログ

    まだこんな事を考える年齢ではないのかもしれないけど、私は時々自分の最期を考える。

    誰に看取られ、誰に支えられ、どんな最期を送るのだろう。

    けど、どんな最期であれ、大好きな人に見守られて逝きたいと思う。
    このお話は本当のお話です。


    高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し、苦しくも充実した日々を送っていた。
    長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽きた時、妻のガンを知る。

    「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの50万円、古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった。

    このお話の中の私は、結局妻を病院に連れて行かなかった―。

    正しくは連れて行けなかった…

    「病院は嫌。オッサン(私の事を妻はそう読んでいた)と一緒におれるだけでいいの。」
    そんな妻の言葉があったから。


    放浪に出て9ヶ月間、私は妻の看病をした。
    妻の最期から目をそらしていた私も、妻の苦悩を知り、逃げずに向き合った。
    そして、二人はいつも一緒だった。

    妻が最期に望んだコト。

    それは自分の愛する人と一緒にいること。
    それだけで良かった。


    そして私も、妻を一人にしないと約束した。

    妻は古ぼけたワゴンの中で息を引き取った。

    私は「保護者遺棄致死」という容疑で警察の取り調べを受けた。


    延命だけじゃなくて、"自分が望む最期を選ぶ"
    そんなことが言われている今だからこそ、読んで欲しい。


    本当の幸せな最期って何なのだろうか。

    0
    2011年04月23日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET