タイトルそのまま、緊縛師の龍地が、芸の道一筋だった女形歌舞伎役者草矢を緊縛します。
この二人が、緊縛師と客としての関係から、どんどん互いにはまっていく話。縄が大活躍してます。
赤江漠みたいなやつかな?と思って読み始めたけど、あそこまで耽美で爛れきってたりしてない。もっと硬質なエロスです。
草矢は、
...続きを読む役者としてのプレッシャーを常に抱えつつ、梨園プリンスとして自分の立場を貫こうとしている青年。自分の性癖が自覚できなかった草矢は、あの勅使河原教授によって、禁断の世界に導かれちゃうんです。
縄に魅かれる原因となった、龍地と草矢の生い立ちがきちんと語られているのも高ポイント。
肉体を縛ることで、魂を解放するらしいんですが。
緊縛の世界って、そんなふうだったのね、と未知な世界も垣間見ることができて満足。あんなことやこんなことが、詳細に描かれています。歌舞伎役者の家庭事情も興味津々でした。梨園の話も緊縛の話もリアルで、描写力抜群です。筧の住居だった家はムード満点な古きよき和のたたずまい!小手先ではこんな作品生まれないと思うので、かなり取材勉強されてるのかなぁ、と。奥深いBLですよ。
緊縛なのに、絡みシーンはあまりなし。でも、なんだろう、すごくエロチックで、全体の雰囲気が終始色気に満ちているんです。それはものすごく期待して大丈夫。龍地に仕事抜きで草矢が縛られて苛められるのも、愛あるSMでとにかくいいんです。龍地は真性Sではなく、Sとして奉仕する男だと勅使河原教授が語っています。読んでいてなるほどと思いました。