作品一覧

  • トルコのもう一つの顔
    4.5
    言語学者である著者はトルコ共和国を一九七〇年に訪れて以来、その地の人々と諸言語の魅力にとりつかれ、十数年にわたり一年の半分をトルコでの野外調査に費す日々が続いた。調査中に見舞われた災難に、進んで救いの手をさしのべ、言葉や歌を教えてくれた村人たち。辺境にあって歳月を越えてひそやかに生き続ける「言葉」とその守り手への愛をこめて綴る、とかく情報不足になりがちなトルコという国での得がたい体験の記録である。

ユーザーレビュー

  • トルコのもう一つの顔

    Posted by ブクログ

    最近気になる中東の文化を紹介している本かと思ったら、言語学である著者によるトルコの旅の記録でした。めっちゃ面白い。言語学者による旅行記がこんなにもアドベンチャラスなものになるのか!観光ガイドブックのような表面的なものではなく、少数民族に焦点をあてながら自らの体験として紹介しているのです。それもそのはず。1970年当時トルコに魅せられた著者による少数民族調査旅行だったのです。強大なオスマン・トルコ帝国が西洋諸国によって分断されたのち単一民族国家という幻想で統一しようとしていた時期で、少数民族の虐殺・弾圧もある危険な時期。言語もばらばら、宗教もばらばらであることを認めない時期に少数民族の調査目的を

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    2024年02月14日
  • トルコのもう一つの顔

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    本書はフランス在住でトルコの少数民族が話している言語を研究している日本人の手記ですが、一貫して本人の体験談をもとに記述されているため非常に生々しい本です。題名にもあるように、イスタンブールやトロイ、カッパドキアなどとは違う、一般の人の目にはまず入ることのないトルコの側面を紹介しています。日本には方言こそあるものの基本的に日本語を皆が話していますし、方言は個性的なものとしてむしろ近年は良いものという風潮が大きくなっている気がします。一方本書が描かれた1980年代のトルコでは言語、方言というものが政治に密接に関係し、自身の話す言語次第では逮捕されることがある、という事実は衝撃的でした。民族、言語、

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    2023年04月24日
  • トルコのもう一つの顔

    Posted by ブクログ

    言語学者である著者が単一民族国家を標榜するトルコで体験した少数民族迫害の真実についてまとめた本。

    政府によって隠蔽されてきたトルコの暗部を暴くというのがこの本の趣旨だが、著者の旅行記の側面も併せもっており、この部分がすごく面白い。

    行く先々で出会う少数民族とは毎度毎度あっという間に打ち解けてしまうし、トルコ人学者の誤った歴史認識を巧みな弁舌で言い負かしたかと思えば、警官に捕まり投獄されて窮地に陥ったり、とにかくノンフィクションの旅行記としてはおそらくこれ以上にないほど濃いエピソードに溢れている。


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    2022年04月10日
  • トルコのもう一つの顔

    Posted by ブクログ

    ものすごい言語能力とコミュニケーション能力を持つフランス在住日本人言語学者によるトルコでの言語調査旅行記。とても面白い。
    トルコ政府に怪しまれてどこにいくにも随行員がついてきたり、数日前に出会った官僚が心臓麻痺で死亡したりと普通の旅行記より読んでいてハラハラした。
    著者の言語に対する真摯な態度と飽くなき探求心が伝わってきた。

    また、当たり前に母語で本を読み、母語で会話できる当たり前の現状をありがたく思った。

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    2022年03月20日
  • トルコのもう一つの顔

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新書は評論文のようなものが殆どであるが、この本は読んでる途中、2回ほど本を閉じ、表紙を見て、「これ、本当に中公新書なのかな」とかやったほどだ。どう言うジャンルと言って良いのか分からないが、紀行文のような印象を受けた。新書にあるような内容ではない。

    著者の小島剛一は、フランス在住の言語学者で、特に偏執的とも言えるほどトルコに入れあげ、トルコの少数民族の言語研究を、十数年とフランスからトルコに通い詰めつつやってきた人だ。この本の出版は1991年とかなり古いが、著者が旅行していた1970年代から1980年代末期に至るまで、トルコ共和国はトルコ人の単一民族国家であり、言語もトルコ語以外は存在しない

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    2018年01月14日

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