小川隆の作品一覧
「小川隆」の「クローム襲撃〔新版〕」「フィリップ・K・ディックの世界」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
ヴァージルが主人公の間の展開は身震いする恐ろしさで、細胞が学習していくのが脅威だった。全て学習し尽くされたら乗っ取られるという恐怖に追い立てられる。
パンデミック要素も、コロナ禍を経験している今は身に迫ってくる。ワクチンの注射だってそう。ウイルスはあっという間に国境を越えてしまうものだし、意志を持ったヌーサイトならより簡単に全てをやってのけられる。
バーナードが他人の記憶を見て、ヌーサイトの思考宇宙を知るシーンが衝撃だった。壮大すぎて胸がザワザワする。全ての記憶が内包される一つの生命体のような、その混じり合った様々な経験や記憶が共有されてずっと続いていく事実が胸を締め付けて、わけもなく涙が出そうになる。消滅しない、というだけでこんな気持ちになるのか。
感染した人間の身体が変わっていくのが面白かった。肌の白い隆起は震えるほど気持ち悪いけど、人間の形態への執着を捨てれば安寧が待っている。細胞を弄ったことによる進化を受け入れるのか、もし私が選択を迫られたらどうするだろうと考える。たぶん迷わず捨てるだろうと思う。
Posted by ブクログ
全然古臭くなくて面白かった。どきどきした。バイオテクノロジーで生まれた知性ある細胞群が、人体を、世界を侵食していく。
初めは人体を自分のたちの住む世界としか考えていない彼らは、住処である人体を調べながら都合よく改変していく。このあたりはかなりグロテスクで怖く緊迫感がある。
やがて人という存在を認識し、人とコミュニケーションを取り始める彼らだが、その辺りからストーリーは全く予想つかない領域に突入していく。人とは異なるミクロの世界を観測する彼らの影響力は凄まじく、人体のみならず世界法則にまで影響しはじめる。彼らは人を、世界をとう変えていってしまうのか。
全く価値観の異なる知性体どうしの出会いと共生の物語は寄生獣を思い起こさせたが、寄生獣が個の変化や個と個のつながりを描いたのに対し、この作品は容赦ない世界のダイナミックな変化を描いているのかなぁと思う。
人間がもし爆発的に宇宙に広がり始めて、星の意識や宇宙の意識を発見し、認識し、コミュニケーションを取り始めたら、なんて妄想も広がる。
細胞内の反応をこんなに詩的に美しくリズミカルに表現できるんだなぁというところも見所の一つ。