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【特長】
・ジョブズ、オバマ、マララ、ケネディなどの名スピーチが素材
・いずれも本人の <生声> を収録
・プロのナレーターが読み直した音声も収録
・リスニングに加えリーディング、スピーキング&ライティングにも対応
・自学自習を効率化するキムタツ式の工夫とアドバイスが満載
【内容】
●音声再生について
●本書の使い方に代えて
(*)スピーチはいずれも全文ではなく一部を抜粋して収録しています。
Part 1
スティーブ・ジョブズ「伝説のスタンフォード大学スピーチ」
Steve Jobs "Stay Hungry, Stay Foolish"
Part 2
バラク・オバマ「広島演説」
Barack Obama "Toward a Moral Awakening"
Part 3
マララ・ユスフザイ「国連演説」
Malala Yousafzai "Not Be Silenced"
Part 4
その他の名スピーチ
Five Other Great Speeches
・バラク・オバマ「2004年民主党大会基調演説」
・バラク・オバマ「大統領選勝利演説(1期目)」
・ジョン・F・ケネディ「大統領就任演説」
・ジョン・F・ケネディ「大統領とメディア」
・アーノルド・シュワルツェネッガー「成功するための6つの法則」
Answers(スピーキング&ライティングの回答例)
言わずと知れた、英語受験問題集の定番の(元)灘の先生キムタツと、NHKラジオ講座の講師もやったことのある放送通訳者の先生二人が、キムタツが作成した大学入試っぽいオリジナルの和文+実際の大学入試問題の和文をどうやって英訳すればいいのかを対談しながら注意点を述べて、最後に二通りの正解が示される、というもの。旧帝大の和文英訳。
「対談ならわかりやすいかなと思いまして。」というタイトルで、実際分かりやすいのかどうかと言えば、結構微妙だと思う。とっつきやすさがあるのは確かだが、時制とか冠詞とか文法的な話と、単純な表現のバリエーションの話と、英訳する時の、あるいは英語学習に対する心構え的な話と、あとちょっとした関西弁での冗談みたいなものと、全部が同じ感じで書かれていて、それを順番に読むしかないわけなので、読んでいて若干イライラする。というかもう好き嫌いの問題だけど、「だいぶあかんやろ」みたいなキムタツの関西弁が急に(全部ではなく、急に先生や生徒の「台詞」の部分で)出現するのがノイズでしかない。とか、偉そうなキムタツとそのキムタツに遠慮する柴原さん、若干の上下関係、みたいなものを感じさせるというのもノイズ。これも対談形式にしたからこそのマイナスだったわけで。あとはやたらと「生徒が何点減点ですか?って聞いてくる」という話が出てくるけど、そんな生徒ばっかりなのかなあ?確かにうちの生徒も、入試問題演習で要約の練習とかやると、「これで何点くらいですか」って聞いてくる人は確かにいっぱいいるから、やっぱりそれはそうなのかな。…ということが気にならない人にはもう少しストレスなく読めるかもしれない。
さらにどうしてもキムタツの説明にちょっとクセを感じて、なんか受け入れにくい。p.65には「僕のは分詞構文なんですけれども」とあるけど、それは分詞構文とは言わないんじゃ?とか、「外国語を習得するというと、〜を想像するかもしれないが」のキムタツ訳はSpeaking of mastering a foreign language,となってるが、speaking ofって話題を広げる表現で、when it comes to...の方がいいんじゃないか?とか、思う。「語彙のニュアンスを楽しもう」(p.129)という項目で、「考える」はthink以外に、considerやreflect onや…、と色々あって、それぞれ意味や使い方の違いを知ることは大事ですね、という話をしたその次のページで、「『〜する傾向にある』というtend to doは知っておけばいいかなぁと思います、ワンパターンで便利なんですから。」(p.130)となってて、ついていけない。tend toとbe apt toの違いを知るのはそれなりに受験英語の定番で、ワンパターンではないと思うけど。同じように、「ネガティブ系の言葉について、『自分はこれを使う』と決めていると楽だと僕はいつも思っていて、たとえば『がっかりする』ときはdisappointを絶対使う。(略)で、自分が情けないときは、それこそbe ashamed ofとか、『これに関してはこれを使う』と決めておくとすごく楽かもしれない」(p.142)のような発言もあるが、そういう考え方が、この本で批判する(何も考えない機械的な)「逐語訳」につながるのではないか、と思うと、やっぱり変だと思うし、いやそれとこれとは違う、と言うのだったら、それこそ対談にしたからこそ分かりにくくなった、という感じ。あと柴原さんの「must notだと、すごく客観的な感じ」(p.165)も、must notはむしろ主観じゃないのか、と思う。
よかったところとしては、2人の先生の解答が見られるのが勉強になるし、これくらいの解答の幅があるのか、と実感できる問題もあるということ。キムタツが受験英語って感じで、柴原先生はもう少し小慣れた感じの英語になっている。すごい欲を言えば、バリエーションが見られたついでに、昔ある問題集の答えに「米人訳」という参考答案があったみたいに、ネイティブならどう訳すのかまで書いておいてくれればもっと面白いのになあと思った。あと、やっぱり通訳者の人の一つの感覚を知ることができてよかった。「英日通訳(英語を日本語に訳す)のときにも、話を聞きながら、頭の中に映像が浮かぶかが結構重要なんです。浮かんでしまえば、それに日本語でナレーションをつけていけば、通訳になるんです。」(p.97)ということで、日英通訳だったらその逆、頭の中にイメージが浮かんでそれに英語でナレーションをつける、という話が面白かった。「和文和訳」はよく言う話だけど、確かに頭の中にイメージを浮かべる、というアプローチはアリかな、と思った。
ということで、問題を見て自分で訳して2つの解答例と見比べられるし、受験英語の入門編として大事なこと、つまり「与えられた日本語を英語に直すというよりも、日本語で言われている内容を英語に直す」(p.10)という話が実践されるので、そういうことを理解するには良い本だと思うが、個人的な好みとしては微妙な本だった。(26/02)