なんというか、いろんな意味で読んでおいた方がいい本だと思った。
宅間守の根本的な問題は、
・自分に対する理想と自分の現実の不一致
・その不一致を自分ではなく他者や社会に帰責しようとする心性
の2つ、要は「分不相応な高望み」と「自己中心的な他罰性向」ということだ。
しかし、この2つをまったく持
...続きを読むたない人なんているだろうか。「自分がうまくいかないのは、◯◯のせいだ」とまったく考えたことのない人など、ほとんどいないに違いない。であれば、誰もが、大なり小なり宅間守になる素質があるのだと思う。
それにしても、読んでいて「とんでもないモンスターだな」と思いつつも、誰かがどこかの時点で掛け値なしに彼を愛してやることはできなかったものだろうか、というような、すこし哀しい感じも受けた。最終的に、彼はもうどうしようもないくらいに歪んでしまったわけだから、極刑も妥当だとは思うけれど、やはりそういう哀しさみたいなものは拭えなかった。