岡江晃のレビュー一覧

  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    私は全くの素人ですが、宅間守は臨床経験や鑑定経験を多く持つ著者 岡江氏でも、これといった具体的な診断を迷わせる人物であったことがよくわかった。
    この本は法廷ドキュメントでもないし、重大事件のノンフィクションにありがちな著者の私的感情も読者への煽りもない、ただの報告書である。
    読み進めると「宅間守はど...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    大変興味深かった。病院の相談員も一部登場。一度措置入院になっている経過があっても、地域関係機関とのつながりがなかった(と思われる)のは、宅間のどの診断にも当てはまりにくいことがあったのか。この事件がきっかけで医療観察法ができたわけだが、この法律があっても池田小事件を防げたとは思えないというのは筆者の...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    自験例を彷彿させるところもあり、読むほどに背筋が凍る。
    専門外の人にも分かりやすく(鑑定書には必要な条件)、奇を衒わず、かつ、鑑定人の思考過程や苦慮したようすがありありと伝わってくる真摯な鑑定書。事件以前に宅間を診察したことがある多数の精神科医の診療録や証言、看護記録、なども生々しい。
    本事件によっ...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    なんというか、いろんな意味で読んでおいた方がいい本だと思った。

    宅間守の根本的な問題は、

    ・自分に対する理想と自分の現実の不一致
    ・その不一致を自分ではなく他者や社会に帰責しようとする心性

    の2つ、要は「分不相応な高望み」と「自己中心的な他罰性向」ということだ。

    しかし、この2つをまったく持...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    鑑定にまつわる全ての資料とその詳細な解説
    非常に興味深い内容,とても解りやすい


    最後には,鑑定主文と,大阪地裁の判決が掲載
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    【速読】子どもの時分から暴力的な兆候があり、その後性的衝動の強さ、盗み、執拗な依存など犯罪へ結びつく行動が後を絶たず、その一方で精神病院への入退院を繰り返しており、著者は特異な精神状態と分析してます。その上であの事件を抑制する力は失われていたものの、責任能力はあるとの判断。もし統合失調症と診断されて...続きを読む
  • 統合失調症の責任能力 なぜ罪が軽くなるのか
    統合失調症を理解する意味でもいい良書。事例を通して発症から事件に至る過程がわかりやすく記載されている。
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    強姦、暴行、傷害、万引き、無免許、恐喝、当たり屋、ストーカー、窃盗、詐欺、動物虐待、住宅侵入、器物損壊…


    池田小事件までに、これらの犯罪を犯してるヤツが、なんでシャバをうろついてんねん。刑務所からだしたらあかんやろ。



    町内にこんなん1人いたら、グチャグチャにされるで。



    死刑に異議なし...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    2001年6月、大阪教育大学附属池田小学校で児童・教諭を殺傷した宅間守の精神鑑定書。

    家族歴、本人歴、本件犯行、現在症、診断、鑑定主文から構成されています。

    この本を通して、精神鑑定の道すじについて、初めて知りました。

    医療観察法についても思いを馳せながら、読みました。

    責任能力の有無に関わ...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    初から最後までひとっつも救いがなくて、むしろ著者の誠意を感じる。見せかけの希望に逃げるのは簡単だが、まったく救えぬ現実もある。
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    ひとりの人間の生死を、ある意味で託されるということに等しい行為の過程とその結末を、このように示してくれるというのは、それだけで非常に価値あることだし、死刑廃止だの存続だの死んだこともない人間の迷い言を一蹴するにも必要なことであると思う。だいたい、死刑が罰になること自体をまともに考えた人間がいたとする...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    子育て中の身として、何をどう間違えたらあのような人格を持った人間が誕生するのか、知る必要があると思いました。

    残酷で目を覆いたくなるような表現が多数出てきます。読んでいてぐったりしてしまいました。

    彼が年上女性との婚姻中、女性から保護されている関係にあるうちは、暴力的な問題行動も落ち着いていたら...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    鑑定書を出版するというのは批判を恐れてなかなかできないことではあるが、大きな事件でもあるし、資料的にも価値がある内容。

    白眉はやはり統合失調症との鑑別か。
    宅間は被害妄想や注察妄想を呈してはいるが、その場限りの一過性のものがほとんどで、妄想対象も漠然とした不特定他者へ拡散したりすることはない。不安...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    附属池田小事件は、忘れられない事件だ。
    その事件を起こした宅間守とは、どういう人間だったのか。
    知れば知るほど、人間とは思えない人だ。
    なぜ、このような人間になってきたかが、よくわからなかった。
    持って生まれた気性なのか、それとも育った環境なのか。
    病気のようにも見えるし、性格にも見える。
    あんなに...続きを読む
  • 宅間守 精神鑑定書――精神医療と刑事司法のはざまで
    岡江晃『宅間守 精神鑑定書 精神医療と刑事司法のはざまで』亜紀書房も読んだのだ。闇なるものを他者化して安堵する自己認識と社会の構造そのものに問題は存在するとは思うのだけど、これを論評するのは難しい。おもしろおかしく手に取る本ではないな、