工藤順一の作品一覧
「工藤順一」の「国語のできる子どもを育てる」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
「国語専科教室」主催者である工藤順一氏による子どもの国語力を向上させる理論と方法を論じた新書。書く力を向上させる具体的な手法として「コボちゃん作文」を紹介、また理論として書くことと読むことの関係性、そして学校の国語教育や国語テストの弊害について独自の理論を展開する。
学校における国語教育に対して、私自身ずっと違和を感じていた。国語授業で教える内容や考査問題が社会生活をより良く送ることにどれだけ寄与できているのか。本書におけるその答えは、「否」である。読書とは面白いから、題材に興味があるから、知りたいからというような「主観的な動機」で読まれるものであり、どこまでいってもそうあるべきもの。だが学校の国語授業における教科書の文章読解は、主観的な動機など一切なく客観的な情報整理・理解・取得に関する小手先だけの手法を扱っている。主観的動機を排して文章と向き合わせる、それが子どもの本嫌いを作る最大の原因なのだ。国語に関してのみ言えば、学校は教育機関ではなく、客観的に計測可能な国語力のみ扱い順序付けし、「国語を勉強した」感を植え付けるためだけの機関となり下がっている。つまり、生きていく上で本当に必要とされる国語力と学校で養っていると信じられている国語力は全くの別物であるのだ。ではどうすれば本当の国語力とは何か。それはシンプルに言えば、「よく読み、よく書く」ことである。ただこれも誤解されており、ただ読ませ、ただ書かせるだけでは読書嫌いの作文嫌いを作るだけだ。よく本を読む子どもを育てるために必要な能力や導き方は何か、よく書く子どもを育てるために必要な学力や意識、導き方は何か、それを本書は著者の経験から理論的に導き出し説明しているのである。
著者の結論は、幼少期からの主体的読み書き一体化であり、家庭教育の不可欠性である。そしてそれが「国語専科教室」という実践に繋がるのだ。
本書は理想的な国語テスト問題も掲載している。麻布中学校の入試問題だそうだが、その内容は驚くべき程の完成度である。ここまで現代国語教育の欠点を正確に突いた本を私は知らない。そして本物の国語力を養成するための具体的な指針を示した本としても。著者の本を全て読めば、新しい本当の国語教育のヒントが掴めるのではないか。出口が見えず堂々巡りを繰り返すだけの学校国語科教育の解決の糸口を、工藤順一氏が持っていると私は感じてならない。