作品一覧

  • 小野小町論

    小野小町論

    小説・文芸

    -
    1巻660円 (税込)
    ある作家の文学的才能と選ばれたテーマとの幸運な出会いというものがある。その時、作家の資質に情熱がこもり、美しい作品として結晶する。本書はまさに、そういう珍しい例のひとつ。探偵小説の翻案、「萬朝報」創刊者として知られる。

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  • 弊風一斑蓄妾の実例

    弊風一斑蓄妾の実例

    小説・文芸

    -
    1巻660円 (税込)
    「萬朝報」紙上で、権力者の醜行を執拗に攻撃したため涙香は「まむしの周六」と渾名されたが、本書では、男の玩弄物である妾の実例を暴露。犬養毅、山県有朋、井上馨、伊藤博文、榎本武楊、文化人では森鴎外などが俎上にのせられた。

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  • 黒岩涙香集 ――明治探偵冒険小説集1

    明治探偵冒険小説集

    小説・文芸

    5.0
    1~3巻1,397円 (税込)
    売り出されたいわくつきの古い屋敷。屋敷を買った叔父の命で下検分に出かけた主人公は謎めいた美しい女性と出会う。次々と現れる謎の人物。首なしの死体。時計塔のからくり。……「その怖さと恐ろしさに憑かれたようになってしまって、(中略)部屋に寝転んだまま二日間、食事の時間も惜しんで読みふけった」(江戸川乱歩)という名作「幽霊塔」と、父の死をめぐる意外な顛末が秀逸な中篇「生命保険」を収録。

ユーザーレビュー

  • 黒岩涙香集 ――明治探偵冒険小説集1

    Posted by ブクログ

    『幽霊塔』が読んでみたくて手に取った。

    全体的に明治の探偵小説といった感じで面白かったが、一つだけひっかかったのが地名人名だ。登場人物はみな日本名なのだが、舞台がイギリスだったり主人公がイギリスの名家の人間であるということになっていたりする。
    これは元々がアメリカの作家アリス・マリエル・ウィリアムソンの小説『灰色の女』を翻案したものだかららしい。
    横文字名が浸透していなかった明治期には読者に分かりやすいように名前だけ日本人名に変えることがあるという話は聞いたことがあったので納得はした。
    一方、上記のように本当に名前だけしか変えていないので、原案のイギリス要素が垣間見えるたびに「もうちょっとがんばれなかったのか」とも思った。

    さておき文章は古くはあれど思ったよりも読みやすく、謎やスリリングな展開も手伝って興味を失わず最後まで一気に読むことができた。

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    2026年08月29日
  • 黒岩涙香集 ――明治探偵冒険小説集1

    Posted by ブクログ

    明治探偵冒険小説。

    【幽霊塔】
    英国貴族の丸部道九郎は、叔父(跡継ぎ養父)の丸部朝夫の命により、倫敦から離れた田舎町の時計塔屋敷を買い取る。
    丸部一族は、英国王ランカスター家に繋がる血筋だが、最後の国王顕理(へんりい)六世の代に、当時の丸部主人が何やら大いなる秘密を隠すためにこの時計塔を建てたらしい。
    この「幽霊塔」には曰くがある。当時の丸部主人は自ら秘密を隠すために作った迷路から出られず死んだ。その後一族の本流が絶え、この塔は当時の使用人のお紺婆さんが買い取った。だが8年前、そのお紺が殺された。逮捕されたのは、お紺の養女の輪田夏子という女中。夏子は無罪を訴えていたが4年前に刑務所で病死したという。そこで空き家となった幽霊塔を買い取ったのが丸部朝夫。道九郎は一足先に幽霊塔の様子を見に行き怪美女の松谷秀子と知り合う。道九郎は、非常な美女で意志が強く謎ばかりの彼女に惹かれていくのだが、彼女には命掛けの密旨があり…。

    最初の頃で「日本で国王??」と思ったんですが、読んでいくと日本人名だけどイギリス人の物語なんだね、と分かります。
    原案はアメリカの女流作家A・M・ウィリアムソンの『灰色の女』で、黒岩涙香が翻訳しつつオリジナルを入れて書いたということ。
    このあとは幽霊塔の秘密を巡って、怪人物たちがぞろぞろ出てきて怪事件がゴロゴロ起きる冒険活活劇物語になります。
     怪美女、松谷秀子の謎。
     お紺婆さん殺害真犯人は?
     秀子を見張る怪人物たち。
     丸部家に伝わる暗号は、時計塔の秘密を解く鍵なのか。
     監禁部屋のある蜘蛛屋敷での冒険。
     迷路となっている時計塔の内部に隠された秘密。
     川からあげられた首なし死体。
     謎の医師が請け負う仕事とは?
     幽霊塔と屋敷のからくり迷路。

    ヒロインの秀子の身の上と秘密が二転三転、まさに「なぜこんな運命を背負ってしまったのか」という複雑さです。
    これだけの運命を一人で背負って一人で立ち向かうとはなかなか凄い女性でした。

    最後は「大団円」なので(かなり無理矢理感もあるが)ご安心してお楽しみください 笑


    【生命保険】
    ここに書出す枯田夏子嬢(日本人名だけどイギリス人)は、継母に隔てられ実父から離れて憂世を嘆き暮す者なり。
    女教師となりある大家に雇入れられた夏子嬢のもとに一通の手紙あり。手に取り上げし夏子嬢は色を変えたり。それは父の死したる知らせ状なり。
    亡父と継母の屋敷に駆けつけたれば、父はすでに棺に納められ別れもならず。しかしてその夜中、夏子嬢は墓場に埋められたはずの亡父の顔を見たり…。


    …題名が「生命保険」だし、話を通して継母(父の後妻)の狡さは表れているので、まあそういう話だよね、と見当は付きます。
    これも終盤無理矢理感もありながらも一応の大団円。
    こちらに収録の二篇とも、この時代ながら一人で逆境を切り開く女性が強いです。

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    2023年08月05日
  • 快楽亭ブラック集 ――明治探偵冒険小説集2

    Posted by ブクログ

    私は「快楽亭ブラック」といったら立川談志や桂三枝の弟子出身の落語家さんを連想してしまうのですが(名前だけで、演目を聞いたことはないが)、こちらは初代ご本家の「快楽亭ブラック」です。現代の落語家さんは「二代目」らしい。
    漫画『美味しんぼ』でも、来日して落語家になりこの名前を襲名したアメリカ人キャラクターが出てきますね。


    初代快楽亭ブラックはイギリスの名門軍人一家の出身で、一家で来日したのは6歳の時。多芸多才で日本で寄席に出て「英国人落語家快楽亭ブラック」を称する。一時期はかなりの人気だったが、名門の実家からは芸人になったことを猛反発され、芸も飽きられ、晩年はかなり不遇だったようだ。
    こちらに収録されている四作は、快楽亭ブラックの噺を口述筆記したもの。
    日本の客への口演のため、客に語りかける口調であり、フランス人やイギリス人を日本人名にしたり、ヨーロッパと日本の違いの説明を入れてきている。
    時代を感じるのは、身分の差がはっきり出てくることと、犯罪に対しては死刑が当然というもの。収録の四作とも犯罪が出てくる「冒険・推理・人情」という感じなのだが、犯人は捕まったら死刑になることをわかった上で犯罪を実行している。

    【流の暁】
    今を距(さ)ること百二十年前(ぜん)、仏国(ふつこく)に暴動起こりし。
    …というような語り口(口述筆記)で語られる欧州人情噺。
    日本の客相手なので日本と欧州の違いの解説の入る。フランス革命のことを話してから「まさかたったの百年前に、国内で八万人も首を切り落とされるなんてこことがあったはずがないとお考えかもしれませんが…」という感じ。たしかに明治時代の日本人には遠いフランスの革命なんて俄に信じがたい出来事だろう。

    …そのフランス革命のさなか、青年貴族の沢辺男爵は英国に亡命し、百姓娘のおせんを女房にした。
    だがナポレオンの帝政により貴族の復権が約束されると、沢辺男爵はおせんを捨ててフランスに帰国する。残されたおせんは双子の男の子を産んだが、あまりの貧しさに一人を手放さざるを得なかった。
    捨てられた方の赤子は養父母の漁師から「丈治」と名付けられれ、やがて丈治は倫敦の金貸し爺さんの番頭になった。
    そんな丈治が倫敦の街を歩いていると、いかにもボロボロの婆さんが声をかけてくるではないか。「これこれ治郎吉、お前は何処へ行っていたんだェ。ちょっと立派になったからッて阿母さんやお婆さんを知らんぷりすることがありましょうかェ」
    それは、あの時丈治を捨てたおせんの母親(双子にとっての祖母)だったのだ。
    丈治は自分の身の上を知り、母おせんと祖母、そして双子の次郎吉を知った。だが彼らは貧しさのあまりに貧民街でその日暮らしをしていたのだ。特に次郎吉にとっては、勤め人の丈治はよい金蔓としか思わない。
    そしてそれまで真面目に勤めていた丈治は、一家を助けるために犯罪者の道へと転がり込んでいく。
    ついに大事件を起こした丈治はフランスに逃げる。そこで貴族のお嬢さんと役者との合い挽きを目撃し、お嬢さんを強請ることにする。しかしこの貴族のお嬢さんこそが、沢辺男爵と再婚相手との間の娘、つまり丈治の異母妹にあたるのだった。

    ==
    口演の口述のため、流れるような語りかけるような文章だ。そんな親しみやすい口調ながらも話の展開はかなり厳しい。夫に捨てられて貧しさのどん底に突き落とされる女。そしてかつて捨てた子供が出世したとなると、一家総掛かりで集って犯罪まで推奨する。(あまりに貧しく教育も受けていないので、使い込みとか泥棒を悪いことだと思っていない)男が気軽に女を捨てて、すべてが悪い道悪い道へと進んでいく。それを当たり前のように語られるので、この時代は「すべてを失う」ことがよくあることだと受け入れられていたのかと思った。

    【車中の毒針】
    巴里の乗合馬車の女性乗客が急死する。
    偶然乗り合わせた絵描きの加納元吉は、馬車に落ちていた女性用の針(多分スカーフ留め)を持ち帰る。調べたところその針には人を即死させる毒が塗ってあることがわかる。
    伊藤には、婚約間近の娘がいた。山田金三郎のむすめのお高だ。だが乗り合いで殺された女性は、山田金三郎の姪にあたるということが分かる。彼女の死により土屋は経済的にかなりの利益を得るのだ。
    はたして山田はこの殺人に関与しているのか…


    【幻燈】
    倫敦の銀行家の岩出義雄は身寄りも住処もなくした小僧の山田又七に財布を摺られる。だが正直に申し出て真摯に侘びる姿を見込み、身元を引き取ることにした。
    又七はこのご恩を返そうと真面目に働き、ついには岩出のもとで番頭にまでなった。そして岩出の総領娘お政と恋仲になる。
    だがそれを知った岩出は「和紙の跡取り娘を誑かして財産をかすめ取る気か!」と又七を追い出す。
    その晩事件が起きた。岩出が銀行の一室で殺されていたのだ。又七は容疑者として逮捕されてしまう。

    ==
    被害者の身内素人が殺人犯人を探すのに、銀行員の手形を取り、当時流行の幻燈機(スライド映写機のようなもの)で、事件現場に残されていた血の手形と写し合わせてみるという科学捜査手法を使っているのが、当時にはモダンだったんじゃないかな。
    この頃は警察による科学捜査が行われなかったのでこのように、知恵のある素人さんが色々やりますね。


    【かる業武太郎】
    倫敦の町外に暮らす松本義平老人が強盗に殺された。娘のお静さんは阿父さん(おとっつあん)の敵討ちを誓う。
    お静さんは、犯人は軽業師の「世界亭東一(せかいていとういち)」と突き止めるのだが証拠もない。
    お静さんに結婚を申し込む青年島田市太郎は、素人探偵をして東一を捕らえようとするがどうにもうまくいかない。
    そんなときに、お静さんは危ないところを神田武太郎という青年に助けられる。だがこの武太郎こそが、義平を殺した軽業師東一の返送した姿だったのだ。

    ===
    本書に出てくる女性は、男性上位社会で自分の意志で生きようとする強さがあるのはいいんだが、やはり社会の性質上限界がある…。
    こちらの噺のお静さんは、なんの後ろ盾もなく父の敵討ちに突き進むのは立派なのだが、身分の低い者を巻き込み酷い目に合わせたり、下女の心配からの忠告を聞く耳持たなかったり、殺人犯人にあっさりと騙されるし。善意の者の言うことを聞かずに、悪意の者に騙されまくるので、読んでいて「しっかりしろーーーー」と言いたくなった…
    まあ「それなら自分ならできるのか?」と言われたら無理なんですけどね…。

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    2023年08月22日
  • 押川春浪集 ――明治探偵冒険小説集3

    Posted by ブクログ

    【銀山王】
    『紅海の波と印度洋の波とが合する処に、亜典(アデン)と云う綺麗な港がある。洋々たる亜典湾の波を隔てて遥に阿弗利加(アフリカ)大陸に対し、ここは橄欖(かんらん)の花咲く亜剌比亜(アラビア)の南浜(なんぴん)ではあるが…』
    …というなかなか豪奢な描写で始まる一品。

    この美しいアデンの港町で繰り広げられる三角関係。
    イギリス人令嬢の浪島楓(なみしま かえで)嬢と婚約同然にあった日本人貴族の羽衣(はごろも)男爵を銀山王の一人娘有州緑(ありす みどり)姫が奪い取っていた。
    絶望の底にあった楓嬢は、全財産を叔父の黒蛸(くろだこ)紳士に譲り渡して一人町を出る。
    そんな楓嬢の貢献を申し出たのは、緑姫の父有州老侯爵と妻の白縫夫人に恨みを持つ離島老人だった…。

    イギリス人が日本名だったので最初慣れなかったけれど、そういえば昔は海外翻訳ものも日本人名に変えられていたんですね。(たとえば「トム」を「太郎」、「マリー」を「真理子」みたいな)
    話の流れは、三角関係あり、お嬢さまの危機あり、復讐あり、変装あり、派手な死亡場面ありのかなり豪華なお話(笑)
    一応最後はイギリス人の楓さんと日本人の羽衣君はよりを戻すのだが…。現代感覚でいうと「日本のばかもんがゴメンナサイ…」という気持ちに(笑)

    【世界武者修行】
    『天下を横行す七寸の草鞋、草鞋が切れたら高襟(ハイカラ)を蹴飛ばしてその靴を奪わん、靴が破れたら美人を凹ましてその銭を捲上げん、これ世界武者修行の極意である。読者諸君!軽佻の骨、浮薄の皮、而して(しこうして)青病譚の癖に屁理屈ばかり捏ねる(こねる)高襟弱虫共の多き二十世紀…』
    これまた御大層な始まり方(笑)
    要するに高襟(ハイカラー)を蹴飛ばして天下を跋扈する蛮殻(バンカラ)な主人公、団金東次(だん きんとうじ)が、大暴れの日々を過ごしたら大学放校、仕送り中止となったことを機に、それならば日本狭し、世界武者修行に出た、というお話。
    行く先々でも大騒動、人助けにポンと大金与えたり、強盗退治に出たら気に入られたり、仇討の助っ人を買って出たり…。
    まずは上海から桑港(サンフランシスコ)に渡って騒動起こしたところで終わっているが、作者としては続きを書ける状態にしていたのかもしれない。

    【魔島の奇跡】
    『椰子の花咲く亜剌比亜(アラビア)の都府(みやこ)に、蘭平(らんぺい)と呼べる一人の軽子(かるこ)が住んでおりました。ごく剽軽な親仁ながら、お気の毒にも貧乏暇なしで、年が年中稼いでも鐚(びた)一門も剰(あま)らず、家では嬶がわめく餓鬼が泣く家外(そと)へ出ると犬まで吠付く…』
    これまた御大層な描写から始まる冒険譚。
    アラビアの貧乏な欄平おじさんが、たまたま“航海王船乗伯爵”の宴会に招かれ、その冒険譚を聞くというお話。
    難破船から一人助かったと思ったら魔の島に漂着してしまった、王に気に入られたと思ったら死んだ妻と共に生き埋めにされる風習のある島だった、多くの美女に囲まれた屋敷で決して開けてはいけない部屋の鍵を預かった…などなど。
    アラビアン・ナイトのシンドバットの冒険が元になっている…というか分かりやすく日本に紹介したような物語。

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    2019年05月17日

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