くも膜下出血で倒れ、41歳で亡くなった妻の看取りの記録。
著者の桃井和馬氏はフォトジャーナリストで、たびたび戦地にも赴いたこともある人だ。死の色濃い現場の回想と交互に綴られる十日間。
会社で妻が倒れたと聞き、ショックで意識障害を起こしながらも病院に向かう著者。ほどなく脳死状態であるとわかると、妻
...続きを読むのかねてからの意思に従い延命処置は断り、意識も戻らぬまま死にゆく妻を傍らで見守る。忘れ形見の娘と家族、友人、医師や看護師にも寄り添われながら。
著者は横たわる妻の体に触れ、彼女の日記帳を読み返しながら、元気だったころの妻を回想するが、これがまたカッコイイ素敵な人で、著者の愛情と喪失感はいかばかりのものかと思う。
混乱と繰り返し襲う悲しみの発作を経て、現実を少しずつ受け容れていく様子には涙せずにいられない。
途中で本を置くことができず、一晩で読み通してしまった。泣きながら夜更かししたので翌日は目が腫れて大変だったが。
私が死んだら夫はどうするかな、と思った。
夫が死んだら私はどうなるかな、と思った。
人はいつか死ぬ。その時がいつかは誰にもわからない。
それまで、どう生きるのか。
大切な人とどう向き合うのか。
どんな思い出を残していけるのか。
そんなことを思った。