「ハンブルク・スタインウェイ>ニューヨーク・スタインウェイって、ホント?」
「複数のピアノを同時に調律するプロセスは?」
「ステージにピアノを据える位置はどうやって決めるの?」
「クラシックとジャズ、それぞれの演奏や録音はどう違うの?」
たとえばそんな、コンサートの休憩時間やCDのライナ
...続きを読むーノートを眺めながらふと頭をよぎるような問いを、とても分かりやすく解いてみせてくれる本。
カーネギーホールとニューヨーク・スタインウェイの技術発展が密接に関係していたという話、ピアノをホールに持ち込んでから仕上げるまでの話、クラシックとジャズの演奏技法や録音の違い(ジャズの話がスルーされないだけでも嬉しい!)……
さらに「コンサートの途中に調律をしなおすということ」「小さい音をコントロールすることこそ至難」……「そうだったのか!」とか、「やっぱり!」とか、読みながらパズルのピースがパチパチ噛み合っていくような心地良さ。ピアノ好き、調律という仕事に憧れを持つ者としては、ワクワクせずにいられない。
前半部分、そして客観的に書かれた経験談は本当に面白い。読み終わるのが勿体無くて、数日かけてチビチビ読み進めていったくらい。
ただ、後半の経験談では、自慢めいた話や、その一方で他者を貶すような話が目立ってくる。そこがちょっとガッカリなので★-1。