この本、2011年の「大津市中2いじめ自殺」について調査しただけの本ではなかったです。
家族から、学校側から、行政から、第三者委員会からこの2011年の自殺事件を考える。大津の事件の内容は本全体の半分くらいでした。
この自殺事件は決して特殊な事件ではないことが、この本を読むとわかります。文部科学省の
...続きを読む報告では6年間に576人が自殺、2010年度だけでも小中高で147人もの子供が自殺しているんです。日本の児童生徒の自殺の原因としたのは2.7%で、半分以上が原因不明。
なぜ大津の学校側が自殺の原因を隠蔽したのかもありますが、隠蔽した学校側を吊るし上げるだけではない内容でした。
しかし、学校・教員が必ずしも悪くはないともこの本にはかかれています。誰もが当事者意識を持つことが大事だと感じました。
医療職の自分として、この本を読んで感じたことは「思いやる」余裕が欠如している現代。子供も親も学校側も思いやれないんだと思いました。
過去、自殺で子供を亡くしたが、学校などが自殺にまつわる調査を一生懸命してくれたことで癒しにつながったケースもかかれています。自死の親は、どうやっても自分を責め続ける。そんなことも書かれている中で、心をこめた報告をすることが大事だと書かれています。
考えさせられる言葉がちりばめられた、勇気ある一冊だと思いました。