[潜在大国の表と裏]その政治体制から宗教、外交政策に至るまで、ありとあらゆる側面で注目を集めるイラン。強硬派とされたアフマディネジャド大統領時代にイランに赴任することになった記者の現地レポートにして、今後のイランの行く末を考えた一冊です。著者は、毎日新聞で記者を務める春日孝之。
著者は特に「イス
...続きを読むラム」と「ナショナリズム」の両面が近年のイランでは溶け合っていく様子に注目しているのですが、イランの複雑さを理解する上でも勉強になる視点なのではないかと思います。多くのイランの有力者のインタビューが掲載されているのも好感が持てますし、赴任が初めてのイラン経験とは思えない程いろいろと考えられているのだなと感心してしまいました。
日本においては外交面、特に核開発で注目を集めるイランですが、その内政が外交に大きく関わってきていることを感じ取れるのが印象的。個人的にも興味を持っている国なのですが、こういった形の手に取りやすい本が出版されることは大変ありがたい限りです。
〜イランが本気で「イスラムの大義」を掲げてイスラム共同体の建設を目指すのであれば、「シーア派」の顔も「ナショナリズム」の顔も、大きな妨げになる。にもかかわらず、それらを抑えられないところが、なんともイランらしいのである。〜
なんと多層的な国家なんでしょうか☆5つ