春日孝之のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
[潜在大国の表と裏]その政治体制から宗教、外交政策に至るまで、ありとあらゆる側面で注目を集めるイラン。強硬派とされたアフマディネジャド大統領時代にイランに赴任することになった記者の現地レポートにして、今後のイランの行く末を考えた一冊です。著者は、毎日新聞で記者を務める春日孝之。
著者は特に「イスラム」と「ナショナリズム」の両面が近年のイランでは溶け合っていく様子に注目しているのですが、イランの複雑さを理解する上でも勉強になる視点なのではないかと思います。多くのイランの有力者のインタビューが掲載されているのも好感が持てますし、赴任が初めてのイラン経験とは思えない程いろいろと考えられているのだ -
Posted by ブクログ
2005年から4年間、毎日新聞のテヘラン特派員としてテヘランで過ごされた著者によるイラン分析。「へぇ」と思うところが多々あって、面白かった。アメリカ、イラン、イスラエル、アラブ諸国などの関係は表面的に見えているところだけでは判断できないもののようだ。
以下、覚書。
*イランは中東では最もアメリカ的なものが好きな国民。
表向き反米の旗を振りながら、実際は対米関係の修復を志向している。
*イラン人は日本人以上に本音と建前のギャップが大きい。
*女性の服装について。
西洋化政策を進めたパーレビ王政は1936年、チャドルを後進性の象徴として着用禁止令を出した。
これに対し、王政への不満が強まる中で、 -
Posted by ブクログ
テヘラン特派員として日本人記者が現地で見てきたイラン像が中心となっている本。著者が実際に驚いたことが書かれているからなのか、「え?そうなの?」「なるほど!」と思う箇所が多い一冊でした。
ブッシュ前大統領の「悪の枢軸」発言にしても、対タリバンや対アルカイダという利害一致によるアメリカ支援という当時の事実を知った上で考えれば謎めいて聞こえる。イランはイスラム教でもシーア派の国で、スンニ派のアラブ各国とは考え方も全然違う。「中東」「イスラム」というキーワードだけでは判断出来ないことが、この本を読むとわかると思います。
イラン人は「嘘は方便」が当たり前だったり、隠れてホームパーティを毎週開催してい -
Posted by ブクログ
イランという国に対してなぜか黒いイメージ・・・核開発疑惑やアフマディネジャド大統領のホロコースト否定発言に代表されるような過激発言など・・・が付き纏うのは往々にして僕らが欧米の側に立った視点で見ているからのように思う。本書はそれをイランの側から改めて見つめなおし日本人に知られざるイランの姿を教えてくれる。イランにはイラン人が誇るべき歴史を持つペルシア文化や文学があり、それらはその昔「イスファハーン(イランの都市)は世界の半分」と謳われたのに恥じない素晴らしい世界共通の財産でもある。この本を読めばそんなイランに対する遠い異様な国というイメージを、本来は親日的で意外に身近な国なんだというイメージに