ジャミル・ジャン・コチャイの作品一覧
「ジャミル・ジャン・コチャイ」の「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「ジャミル・ジャン・コチャイ」の「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
争いが絶えない地に住む、或いはそこで生まれた人間達の日常を、たまにファンタジー込みで描写した短編集。
表題だけ見て俗っぽい作品なんだろうなと思い購入はしていなかったのですが、Twitterであらすじが流れてきたのでふと拝見したところ、あまりにも面白そうすぎたので慌てて購入し読みました。予想通りかなり面白かったです。
表題にもなっている"きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする"は作品のテーマが面白い上に文章も素晴らしく、何よりも最後の一文が素晴らしい。その他、"もういい!"では一生続くんじゃないかと思う区切りの無い文章の羅列をアッラーへの信仰で区切ることで読みやすくしており、溜まりに溜まった主人公の鬱憤の爆発が見事でした。
全体的に仄かな悲しみが漂っている作品群で、時に救いがあったり無かったりするのが写実的なように感じ、遠い国で起こっている地続きの現実という感想を抱きました。海外文学の中では比較的読みやすく、内容も相当面白いと感じましたので様々な人に勧めやすい一冊ですが、やはり悲哀を常に纏っているように感じますので、とりわけロシア文学が好きな方には相当刺さるのではないでしょうか。是非読んでみてください。
Posted by ブクログ
1992年生まれのアフガニスタン系アメリカ人、ジャミル・ジャン・コチャイによる連作短編集。
ゲームが好きならこのタイトルと表題作は惹かれるものがある。かくいう自分もここ数年はゲームはめっきりプレイしなくなったが、かつては結構なゲーマーであった。
当然『メタルギアソリッド』シリーズも熱中した口で『ファントムペイン』発売時には寝る間も惜しんでミッションをこなしていた。
この表題作は、アメリカに住むアフガニスタン系アメリカ人の少年が、無職の父を助けるために貯めていたバイト代を、その日発売日だった『メタルギアソリッドV』に充ててしまう。早速帰ってプレイすると、広大でリアルな世界が彼の眼の前に開かれ、熱中してプレイしていく。だが次第にミッションが亡くなった少年の叔父を助けるものへと変わっていき、というもの。
マジックリアリズムな表現の面白さと、アフガニスタン系の作者だからこそ感じるゲームで描かれるイスラム系の扱われ方、描かれ方、その受け止め方が新鮮だった。
『メタルギア・ソリッドⅤ:ファントムペイン』はまた違うのだが、エドワード・W・サイードの『イスラム報道』は欧米メディアによるステレオタイプなイスラム系のイメージを批判していたが、映画やゲームの世界でもその影響は結構強いのかもとか思ったりした。
他に気に入ったのは『ハラヘリー・リッキー・ダディ』という作品。
ボンクラな大学生リッキー・ダディが同じ大学のパレスチナ人女子ナビーラに恋をする。彼女のことを知るためにパレスチナ問題を調べまくっていく。
ある日ナビーラにはパレスチナで抵抗運動をしている恋人ユスフがいることを知る。リッキー・ダディはユスフのこともツテを使って調べていく。するとユスフはイスラエルの刑務所に罪状もなく収監されていることがわかる。ユスフはイスラエルに罪状を要求するためにハンガーストライキを実行するのだが、リッキーもハンガーストライキを行う。次第にハンガーストライキが大学のイスラムコミュニティから、アメリカ全土、世界と広がっていく、という話。
大学寮でバカ騒ぎをしてるだけだったリッキー・ダディが恋をしたことで想像もできないところへ連れて行かれる作品で、その飛躍も含めて素晴らしかった。
どの作品もそこまで長さはないのだが、短くまとまった中にそれぞれ光るものがあり、そして痛みがある短編集だった。
Posted by ブクログ
アフガニスタンの土地で繰り広げられてきた戦争や内乱についての短編集。各話は繋がっていたりいなかったりするけど表題作における主人公の叔父・ワタク(16歳で敵兵に殺害された)のことは異なる人物の視点から何度も描かれる。この人のことを書きたかったんだろうなと思った。
表題作はすごく祈りを感じた。主人公の少年が、アフガニスタンを舞台にした戦闘ゲームをプレイするところから物語が始まる。ゲームのオープンワールドにはアフガニスタン出身である父の故郷の風景が再現されて、あまりにも本物そのままの風景の中に、殺される数日前の叔父がまだ生きていた。主人公はなんとか彼を助けようと奔走するも……というストーリー。必ず死ぬ運命にある人を救おうとして必死になっている姿に、やりきれない切なさを感じた。
歴史に明るくなくて理解しきれなかった部分が多いので再読したい。