ジャミル・ジャン・コチャイのレビュー一覧

  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    イスラム文化に対する理解が深くないと読み込みきれない内容だが、短編なので脳の処理能力の限界を迎える前に話が終わるバランスが絶妙。
    寓話的な話が多いけれど、宗教や人の死が身近にあること、人が人でなくなる話の多さ、西洋的価値観とは逸脱した結婚感や男女の関係性など、日本と根本的に違う価値観に触れることができて、とても興味深い作品だった。

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    2026年10月08日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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     争いが絶えない地に住む、或いはそこで生まれた人間達の日常を、たまにファンタジー込みで描写した短編集。
     表題だけ見て俗っぽい作品なんだろうなと思い購入はしていなかったのですが、Twitterであらすじが流れてきたのでふと拝見したところ、あまりにも面白そうすぎたので慌てて購入し読みました。予想通りかなり面白かったです。
     表題にもなっている"きみはメタルギアソリッドV:ファントムペインをプレイする"は作品のテーマが面白い上に文章も素晴らしく、何よりも最後の一文が素晴らしい。その他、"もういい!"では一生続くんじゃないかと思う区切りの無い文章の羅列をアッラーへの信仰で区切ることで読みやすくしており、溜まりに溜まった主人公の鬱憤の爆発が見事でした。
     全体的に仄かな悲しみが漂っている作品群で、時に救いがあったり無かったりするのが写実的なように感じ、遠い国で起こっている地続きの現実という感想を抱きました。海外文学の中では比較的読みやすく、内容も相当面白いと感じましたので様々な人に勧めやすい一冊ですが、やはり悲哀を常に纏っているように感じますので、とりわけロシア文学が好きな方には相当刺さるのではないでしょうか。是非読んでみてください。

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    2026年04月16日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    1992年生まれのアフガニスタン系アメリカ人、ジャミル・ジャン・コチャイによる連作短編集。

    ゲームが好きならこのタイトルと表題作は惹かれるものがある。かくいう自分もここ数年はゲームはめっきりプレイしなくなったが、かつては結構なゲーマーであった。
    当然『メタルギアソリッド』シリーズも熱中した口で『ファントムペイン』発売時には寝る間も惜しんでミッションをこなしていた。
    この表題作は、アメリカに住むアフガニスタン系アメリカ人の少年が、無職の父を助けるために貯めていたバイト代を、その日発売日だった『メタルギアソリッドV』に充ててしまう。早速帰ってプレイすると、広大でリアルな世界が彼の眼の前に開かれ、熱中してプレイしていく。だが次第にミッションが亡くなった少年の叔父を助けるものへと変わっていき、というもの。
    マジックリアリズムな表現の面白さと、アフガニスタン系の作者だからこそ感じるゲームで描かれるイスラム系の扱われ方、描かれ方、その受け止め方が新鮮だった。
    『メタルギア・ソリッドⅤ:ファントムペイン』はまた違うのだが、エドワード・W・サイードの『イスラム報道』は欧米メディアによるステレオタイプなイスラム系のイメージを批判していたが、映画やゲームの世界でもその影響は結構強いのかもとか思ったりした。

    他に気に入ったのは『ハラヘリー・リッキー・ダディ』という作品。
    ボンクラな大学生リッキー・ダディが同じ大学のパレスチナ人女子ナビーラに恋をする。彼女のことを知るためにパレスチナ問題を調べまくっていく。
    ある日ナビーラにはパレスチナで抵抗運動をしている恋人ユスフがいることを知る。リッキー・ダディはユスフのこともツテを使って調べていく。するとユスフはイスラエルの刑務所に罪状もなく収監されていることがわかる。ユスフはイスラエルに罪状を要求するためにハンガーストライキを実行するのだが、リッキーもハンガーストライキを行う。次第にハンガーストライキが大学のイスラムコミュニティから、アメリカ全土、世界と広がっていく、という話。
    大学寮でバカ騒ぎをしてるだけだったリッキー・ダディが恋をしたことで想像もできないところへ連れて行かれる作品で、その飛躍も含めて素晴らしかった。

    どの作品もそこまで長さはないのだが、短くまとまった中にそれぞれ光るものがあり、そして痛みがある短編集だった。

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    2025年04月15日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    気軽に手に取りましたが、内容は痛みと信仰、家族の物語でした。ずっしりと心に残る一冊。
    表題作も良かったですが、職務内容は以下の通りが、短編なのに一代記のようで新鮮でした。イスラム世界を知らなさすぎな自分を恥じます。

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    2026年06月12日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    作品に惹きつける力が強く熱中して読んだが、鬼の読解力を必要とするため、読んでる途中で睡眠を10分×3程度挟まないと脳がパンクするかと思った。
    東野圭吾の本みたいに分かりやすいファンタジーをイメージして手にしたが、とんでもなく高度な社会派文学。「差出人に返送」が悲しく美しくやるせなく特に好きだった。
    作者のコチャイ氏の才能も凄まじいが、これを翻訳して下さった矢倉喬士氏にも心から感謝する。訳者あとがきによると、パシュトー語やペルシャ語が使われており原作ではそれらがアルファベット表記のみで、英語しか理解できない者には意味がわからないようあえて設計されていたらしい。それを邦訳ではすべてわかるように訳したと。矢倉士はそれを罪としているが、私は感謝しかない。
    もっと世界のことを、戦争のことを、異文化を勉強しなくてはと心が引き締まる。

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    2026年05月17日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    カオスな政情が続くアフガニスタンにルーツを持ち、アメリカで育った著者による、12編の短編。どの話にもイスラム文化や戦争が通底している。

    表題作は、戦争で父親や叔父を傷つけられた少年が主人公。「メタルギアソリッド」の新作を純粋に楽しみにしている一方で、その舞台の当事者でもある、というアイデンティティのねじれが特に強く印象に残った。

    ゲームとしてプレイすれば、敵を排除しミッションをクリアすることに達成感がある。それは自分が普段感じているゲームの楽しさと同じはずなのに、この作品の中では、そこに別の感情が同時に存在している。
    考えてみれば、実在する国が舞台である以上、その出来事を実際に経験した人がいるのは当然のことなのに、「当事者がそのゲームをプレイする」という状況はこれまでほとんど想像したことがなかった。

    だんだんとゲームの世界に入り込んでいく少年。
    現実の中に違和感なく“ありえないこと”が入り込むマジックリアリズムの手法によって、そのねじれはより際立つ。強い言葉で何かを主張するわけではないが、その構図がじわじわと痛ましく感じられた。

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    2026年04月16日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    パキスタン・ペシャワールの難民キャンプで生まれ、カルフォルニアに移住したアフガニスタン系アメリカ人作家による短編集。特に表題作と、猿になっちゃう話と、バラバラになった子どもの肉片が次々送られてきて、それを裁縫で繋ぎ合わせる話が、なかなかに新しい読後感で、読み応えがありました。

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    2026年04月11日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    それなのに、あなたがたはどこへ行くのか?
    ──クルアーン 81章26節
     
     
    YouTubeチャンネル『けんご小説紹介』でスケザネさんが紹介していた本作。
    そのタイトルのキャッチーさに興味を擽られ購入。

    いざ、読んでみると…世界観を理解するのがなかなか難しい短編集でした。
    表題作になっている『きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする』と『サルになったダリーの話』は個人的に好き。

    だけど、全作イスラム文化圏をバックグラウンドにした短編集であり、それらの文化や宗教観、そしてイスラム圏の寓話なども用いているということで、それらをある程度知っている方が読みやすそう。

    アフガニスタン側から見た、戦争文学とも呼べるような作品の数々。
    最後の翻訳者による解説を読むと、結構納得することが書いてありますね。理解というか納得というか…ページを読み進めていくのに些か時間がかかりました。

    イスラム・マジックリアリズム。いやー、ちょっと特殊だったな。
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    〈メタルギアソリッドV〉と一族の戦禍の歴史が解け合う魔術的冒険ほか、痛みと笑いに貫かれた新世代イスラム・マジックリアリズム短篇集。全米図書賞最終候補、O・ヘンリー賞受賞。

    ビデオゲームのマップに入り込み、アフガニスタンの故郷で殺されようとしている叔父を救出に向かう少年(「きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする」)、配達され続ける息子の肉片を縫い合わせていく母親(「差出人に返送」)。パレスチナの囚人解放を求めてYouTubeでハンガー・ストライキを拡散する大学生たち(「ハラヘリー・リッキー・ダディ」)。いつまでも死ねない老女を見守る天使と地球(「ヤギの寓話」)。サルに変身し反乱軍を率いることになった青年の数奇な運命(「サルになったダリーの話」)⋯⋯。

    9・11以後の数多の瓦礫をさまよう亡霊を、神話的な笑いで紡ぐ戦争文学の新地平。最注目作家による傑作短篇集。

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    2025年07月07日
  • きみはメタルギアソリッドⅤ:ファントムペインをプレイする

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    短編集
    アメリカからアフガニスタンへの思いをのせて,いろんな形での文章,文体のアプローチが面白い.
    現実のゲームプレイが妄想と混ざり合って進む表題作,どんどん届く宅配便の「差出人に返送」突然サルになった息子と母を描いた「サルになったダリーの話」が良かった.

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    2025年05月23日