⿻ Communityの作品一覧
「⿻ Community」の「PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来(サイボウズ式ブックス)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「⿻ Community」の「PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来(サイボウズ式ブックス)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
ビジネス・実用
Posted by ブクログ
第1部 「Plurality」を“読まずに”読んだ体験として
本書を一文一文なぞるように読むのではなく、関連する理論や自分の実務経験と接続しながら“立体的に眺めた”というのが、今回の読み方だった。物理学の相対性理論や量子力学、三体問題、さらには生物学のエピジェネティクスといった、一見日常から遠い法則群が、実は社会や民主主義とフラクタルに相似である、という直感からスタートしている。そのうえで、自律分散システムやAI、インターネットの設計史(ウィーナー、リックライダー、ジンメル、八木・宇田アンテナ、光ファイバ)を、自分の手元のゲーミングPC上の環境構築や、自治体の「課長」の権限感覚と重ねながら読んだ。結果として、Plurality を「2025年版『なめらかな社会とその敵』であり、構造的本質はほとんど変わっていない」と理解するに至ったのが、今回の読書体験の核になっている。
第2部 本書が提示する構造と、私の読み替え
本書の第4章「自由」は、権利やオペレーティングシステム、IDと人物性、団体、契約、アクセスといった要素を「社会OS」として再設計する章だと理解した。ここでのポイントは、自由を抽象的な価値として語るのではなく、ID設計やアクセス制御という実装可能なレベルで分解し直していることだ。一方、第5章「民主主義」では、協働テクノロジー、没入型共有現実、拡張熟議、適応型管理行政、⿻投票、社会市場などを、「OS上で動く社会アプリ/アルゴリズム群」として扱っているように見える。私はこの構造を、自分なりに「Yakusoku(事前の約束)と Nattoku(結果への納得)を、大人数にスケールさせるための技術カタログ」として読み替えた。議論の本質はやり方ではなく、先にルールを合わせ、そのプロセスに沿って進めた結果に当事者が納得できるかどうかである。その前提に立てば、拡張熟議とは、少人数で成立していた Yakusoku と Nattoku を、AIやネットワークを使って何万人にも破綻なく適用する試みだと整理できる。
第3部 自律分散社会のオーケストレーションとしてのPlurality
この本を支えるもう一つの軸として、私は「オーケストレーション」という言葉を当てはめた。自分のPCでは、Whisper と Pyannote を組み合わせ、OBSで録画した複数会議の音声から話者分離文字起こしを自動生成するパイプラインを動かしている。CUDA や Python ライブラリを含め、環境構築だけでかなりの手間がかかったが、本質は個々のコンポーネントの優秀さではなく、それらをどうつなぎ、運用するかにある。同じ構図は政治にも見える。これまでの民主主義は、政党と議席数という「数」が力であり、法は一枚岩のテキストだった。これからは、法は実装可能なオファリングの集合であり、それらを適切に組み合わせて現場で動かすオーケストレーション能力が、首長や課長に求められる。Plurality は、そのための思想面でのOS設計書だと感じる。特に、自分が作った「VUCA世界の未知の奥(Michinoku)における、事前の約束(Yakusoku)と納得(Nattoku)が、社会の合意形成のカギとなる」というフレーズに、本書の議論がきれいに乗る手応えがあった。細部を読み込みたい箇所としては、第4章冒頭の権利とOS、IDと人物性の節、第5章の拡張熟議と適応型管理行政、⿻投票と社会市場の節が挙げられる。そこを押さえれば、Plurality を自分の現場に実装するための解像度が一段上がるだろう。
Posted by ブクログ
今回、私は「プルラリティ」という言葉がなかなか理解できませんでした。
また、audibleで聞き始めたので、難解な言葉や慣れないカタカナ単語が出てくると、わからないままどんどん進んでしまい、一周聞いただけではなかなか内容が頭に入ってきませんでした。結局、3、4周ほど繰り返し聞きました。
これまでの自分といえばまるでぎゅうぎゅう詰めの歩行者天国を流されるまま歩いていたような感覚でした。そして身動きできないことに疑問も持っていませんでした。この本が提示する「色々な考え方を認めながら、一つのより良い方向を見つけてゆく」という考え方はとても新鮮です。意見が違うは分断だと思って言いました。
ぎゅうぎゅう詰めの歩行者天国で、頭にタケコプターをつけてもらったような感覚、
もう少し俯瞰して世の中を見てみようという視点をもらえたような気がします。
まだまだこの本の中には気づきや発見があるように思いますので、audibleで聞き直して、理解を深めていければと思います。
Posted by ブクログ
Pluralityとは『社会的差異を超えたコラボレーションのための技術』のことである。
近年のIT技術、とりわけAIに代表されるデジタル技術は既存の社会の常識を一変させたが、一部企業が営利目的のために寡占状況を作り出したり、一党支配体制の国家主導にて推進されることによって、社会の分断や国家による個人への支配力を強めてしまう結果に陥っている。
本書の著者の1人であるオードリー・タンは、台湾での自身の経験をもとに、ITとデジタル技術によってトップダウンではなく市井のコミュニティ主導でより良い民主主義を作ることができると提唱する。
4章以降では実際に具体例を上げながらAIやIT技術によって、個人もしくはコミュニティのアイデンティティを定義し、情報の機密性や完全性を保ちながら国家や人種の壁を超えたコラボレーションの方法が提示される。最新の技術を用いたフロンティアについて触れつつ、現時点での限界やその未来についても細かく書かれており、よくある具体的な方策なしで理想論のみ書かれている啓蒙書とは一線を画す。
一方、最重要と思われるコミュニティの形成とIT技術を初めとしたPlurality 概念をコミュニティに浸透させる方法や、Plurality の推進者がコミュニティから信頼を得る方法ついてはあまり取り扱われず、台湾での成功はその特異な歴史とタンによる強力なリーダーシップあってのものだという部分はあまり掘り下げられないため、理論の実践にはまだ問題が山積みであるという印象は最後まで拭えなかった(実際、タンが2024年に政務委員を辞退してからは台湾も難しい局面になっているようだ)。
本書でも取り上げられている安野氏が、支持率を維持できず、国会において期待されていた変革をいまだに実施できていないことこそ、本書が描ききれておらず、それでいて最も本質的な問題の一つの表れだと思う。
とはいえ、IT技術やAIの進歩が急速に加速する中で、民主主義や自由を守るために必要な協力の手法が本書には詰まっている。
地勢的にも思想的にも、このPluraliy概念においては台湾とは類似点が多い日本では、この本から学ぶべきことは多いだろう。