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  • アーリヤ人の誕生 新インド学入門
    3.0
    1巻1,210円 (税込)
    ヨーロッパのラテン語・ギリシア語とインドのサンスクリット語に共通の祖となる、失われた起源の言語――。そんな仮想の言語の話し手として「アーリヤ人」は生み出された。そして、それは瞬く間にナチス・ドイツの人種論に繋がる強固な実体を手に入れる。近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。 言語学誕生の歴史から、「すべての起源」インドに取り憑かれた近代ヨーロッパの姿が克明に浮かび上がる! 「インド学」はインドで発達した学問ではない。18世紀末からサンスクリット語文献を集めてきたヨーロッパを中心に発達してきた。私たち日本人が抱く「インド」イメージもまた、近代ヨーロッパという容易には外しがたい眼鏡を通して形成されている。 植民地インドで「発見」された古典語サンスクリットの存在は、ラテン語やギリシア語との共通性から、ヨーロッパとインドに共通する起源の言語の存在を想像させた。類稀な語学の才に恵まれたイギリス人ウィリアム・ジョーンズ(1746-94年)によるこの「発見」によって、近代言語学は誕生する。同時にオリエンタリズムがヨーロッパを席巻し、『シャクンタラー姫』をはじめとするサンスクリット語文献が次々にヨーロッパで翻訳された。 その奔流のなかで『リグ・ヴェーダ』を英訳したのが、ドイツ出身で英国オックスフォード大学に職を得たフリードリヒ・マックス・ミュラー(1823-1900年)である。彼は比較言語学の成果から、『リグ・ヴェーダ』の成立年を紀元前1200年頃と推定し、「アーリヤ人の侵入」を紀元前1500年頃とした。日本の教科書でもよく知られる記述の源は、ここにある。 19世紀ヨーロッパで言語学とともに誕生した「アーリヤ人」は、20世紀にはナチス・ドイツによるユダヤ人迫害を生み、さらにはインダス文明が発見されたインドに逆流して、考古学的成果と対峙しながらさらなる波紋を生んでいく――。 近代言語学の双生児「アーリヤ人」は、なぜこれほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。なぜ言語は常に民族という概念を呼び寄せずにいられないのか。言語学誕生の歴史をひもとくことで「起源」というロマンに取り憑かれ、東洋を夢見た西洋近代の姿を克明に描き出す。インドの実像に目を開く一冊。(原本:『新インド学』角川書店、2002年) 【本書の内容】 第1章 インド学の誕生ー―十八世紀末から十九世紀初頭のインド・カルカッタ 第2章 東洋への憧憬ー―十九世紀前半のヨーロッパ 第3章 アーリヤ人侵入説の登場ーー―十九世紀後半のヨーロッパ 第4章 反「アーリヤ人侵入説」の台頭――二十世紀のインド 第5章 私のインド体験ー――多様性との出会い 補 章 出版二十年後に

ユーザーレビュー

  • アーリヤ人の誕生 新インド学入門

    Posted by ブクログ

    乱暴まとめご容赦

    ウィリアム・ジョーンズが、つまりは西洋がサンスクリッド語を発見、ヨーロッパに広がりオリエンタル・ルネッサンスが勃興、比較言語学が成立し、そこから印欧祖語という概念が誕生。当初は理論上の概念にすぎなかったが、ピクテの言語学的古生物学(言語による先史研究)によって、話し手の故郷探しが始まり、ただの言語学上の用語だった「アーリヤ」が民族だとか人種を指すようになった。こうして、アーリヤ人侵入説が生まれた。
    最近の考古学の進歩により、アーリヤ人侵入説が否定されていているが、そこにはヒンドゥー・ナショナリストの思惑もまじってやや不純。
    とにかく全否定はできないが、従来の侵入説は見直すべ

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    2024年09月01日
  • アーリヤ人の誕生 新インド学入門

    Posted by ブクログ

     本書の内容は、著者自身によって次のように要約されている(193-194頁)。

     近代比較言語学の祖と言われるウィリアム・ジョーンズと、インドのカルカッタにおいて彼らによって創設されたベンガル・アジア協会の活動により、西洋におけるサンスクリット語の発見、そしてそれが印欧比較言語学へと発展する(第Ⅰ章)。
     このサンスクリット語発見ののろしは、ヨーロッパに広がり、オリエンタル・ルネッサンスの華を咲かせることになる(第Ⅱ章)。こうして印欧比較言語学が成立すると、そこから印欧祖語という概念が生まれる。理論上の産物であった印欧祖語は、「再建」の手続によって実体をもったものとなっていくのだが、そこには

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    2024年06月13日

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