作品一覧

  • 裸足のゴースト

    裸足のゴースト

    小説・文芸

    3.6
    1巻1,980円 (税込)
    【小説すばる新人賞 受賞後第1作!】 俺は本来、ランナーを名乗ってはいけない人間だ。 己の役割も知らず、ロードの上を幽霊のように今もこうして彷徨い続けている。 実業団の長距離ランナー・柴田光輝は、脚の故障により選手を引退した。 しかしそれは不慮の事故ではなく、終わりなき競争の日々に疲弊した柴田自身が仕組んだものだった。 思惑通り実業団を辞めることに成功した柴田だったが、 地方の保険営業所に異動させられ、悪質な保険セールスに携わるなか、次第に精神をすり減らしていく。 そんなある日、柴田は「ブラインドランナーの伴走者をやらないか」と誘われ、再び陸上の世界に舞い戻ることに。 それは「なぜ走るのか?」という問いに向き合う旅路のはじまりでもあった。 己の存在証明にひた走る、 ひとりの青年の軌跡を描いた異色の青春譚。
  • 正しき地図の裏側より

    正しき地図の裏側より

    小説・文芸

    3.5
    1巻770円 (税込)
    定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた8万円が無くなっていたことに気づく。父に問い質すと、金を使ったことを悪びれもせずに認めた上に衝撃の言葉を言い放った。父を殴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなり、遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。第36回小説すばる新人賞受賞作!

ユーザーレビュー

  • 裸足のゴースト

    Posted by ブクログ

    足が速いけど、走るのが別に好きなわけではない青年の葛藤。屈折した青年の心情がよくわかる。文章のリズムが心地よい。

    0
    2026年08月23日
  • 裸足のゴースト

    Posted by ブクログ

    ケガで実業団を引退した元マラソン選手が、ブラインドランナーの伴走者となり「走る意味」を見つめ直すスポーツ小説。

    盲目のランナーと伴走者、となると2◯時間テレビ的にキレイキレイな物語に仕上げられそうなところ、まったくそんなことはなく。誰も彼も狡かったり頑固だったり…それでいい。
    爽やかな感動ストーリーを予想するといい意味で裏切られます。

    主人公は走ることが好きではないし、後ろ向きで身勝手な性格だけれども、その不器用な迷走から不思議と目が離せない。
    心身ともにボロボロになりながら泥臭く見つけた答えは、決して模範的ではないけれど。清々しさがあっていいラストでした。

    0
    2026年10月21日
  • 裸足のゴースト

    Posted by ブクログ

    思っていた展開とちがって途中からなんなのこの主人公?この小説どう着地するの?と気になりながら後半急激に面白くなります。陸上で進学して実業団入りする人たちの末路や現役の箱根で走る人たちの裏にはこういう世界が少なくとも本当にあるのでしょう。大衆に受け入れられる「俺たちの箱根駅伝」のようなわかりやすくも面白いストーリー展開ではなくネガティヴ要素が多く散りばめられてどこまで堕ちていくんだ…と語り手を醒めた目で気持ちが離れていってから引っ張られる。自分も伴走をするのでこんな奴あり得ないと思いつつ、ブラインドランナーやそのチームで気を遣ったり媚びたりすることを絶対にしないこの人の走りの才能にほんの少しジェラシー。誰かの記憶に残るためってなんやねん!と突っ込みたくなるけど、こんな息子のご両親(特にお母さん)のように付かず離れずでも見守り味方する立ち位置をとれる母親を尊敬する。ああ非凡な市民ランナーって幸せだなぁ。そしてストレスなく働き適度に身体を動かし睡眠と栄養を摂ることの大切さも。小説のメッセージではないかもしれないけどそんな気持ちにさせてもらった。

    0
    2026年10月12日
  • 裸足のゴースト

    Posted by ブクログ

    面白かった。

    みんなそんなに立派じゃないよね。
    いくら華やかな世界にいても、みんながみんな目標を持って頑張っている訳ではなく、また、目標が達成されている訳でもない。
    でも、好きなことは好きだし、落ち着いて周りを見れば助けてくれる人もたくさんいるんだろうね

    そんな当たり前なことが身に染みたストーリーでした。

    0
    2026年08月13日
  • 正しき地図の裏側より

    Posted by ブクログ

    学生の耕一郎がある冬の日に、酒に溺れる父の愚行に怒り殴り殺してしまう。
    逃亡生活を選択し、身を潜め静かに日常を暮らしていくことになるのだが…

    というありがちな逃避行物語ではあるが、耕一郎がドがつく程の真面目で寡黙な青年である故に、ドン底にいつつも犯罪に走ったり、人を貶めたりしないところが健気というか馬鹿正直というか。
    訳ありのホームレス仲間や、途中で出会うおっちゃんとの生活はただひたすら普通に生きたいが過去から立ち直れなかった者達の成れの果てみたいで、悲しくも現実から逃げていては何も変わらない生活を象徴していた。
    しかし耕一郎は若さもあって普通を諦めずに生きる選択をしていくことで父の死の真相を受け止めようとする。
    逃げるだけでは変えられないからこそ。
    そしてラストに知る事実はある意味耕一郎への罰でもあり救済なんだろうと思う。

    0
    2026年03月13日

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