ここ10年くらいの世間を耳目を引いた凶悪事件を集めたもの。いかにも週刊誌に載っていそうな書きぶりで、日本の週刊誌文法に則った文体とでも言うか。たんたんと事件の経過と背景を説明するほうがよかった。
それにしても、同じ人間がこんな凶悪なことをできてしまうのか、と恐ろしくなる。犯罪を犯すことそのものは犯人
...続きを読む本人の責任によるものではあるが、そこに至る過程には彼らを取り巻く環境的が多分に影響していることが見て取れる。安易に格差社会という気はないが、そうした世代をまたいだ環境と犯罪の連鎖にどう対処するのかは大きな課題。
といいつつ、この手の本を手に取るのは、そんな社会問題に目を向けるというよりは、やはり凶悪犯罪に対する野次馬的興味感心の方が圧倒的に強いだろう。それは僕自身も同じ。犯罪、あるいは人の不幸というものが、娯楽として消費されるということこそ、実はより恐ろしいことかもしれない。