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  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

    [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

    ビジネス・実用

    4.7
    1巻5,720円 (税込)
    市場は社会に何をしたのか? 自己調整的市場のユートピア性と破壊性を文明史的に解き明かした政治経済学のモニュメント!  リーマン・ショック以降急激に再注目される古典的名著の新訳。 共同体的経済から自己調整的近代市場経済への枠組みの変転を描く。 読みやすさに加え、訳注等も充実。

ユーザーレビュー

  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    カール・ポランニーによる経済学・経済史の大著。
    市場社会の形成と、その解体という「大転換」を語る。すなわち、19世紀文明の崩壊がもたらした世界的な変革を描く。
    著者によれば、自己調整的市場という考え方はまったくのユートピアであったというのが、主要な考え方。金本位制の崩壊が、破局の直接の原因という意味で決定的であるとされる。
    この19世紀文明に至る歴史とその後の歴史を幅広く説得的に説明する。特にイギリスの状況が詳しい。
    1944年にアメリカで、1945年にイギリスで出版され、それ以来読み続けられた古典であり、今読んでも高い説得力を持つ。
    本書は、大著であり読み通すには根気がいるものの、2人の訳者により新訳として出版されたものであり、基本的には非常に読みやすい訳となっていると感じた。内容を理解しやすくなるよう、章の冒頭に訳者による梗概も付されているなど良い。

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    2026年08月29日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

    Posted by ブクログ

    資本主義社会で生きる我々が無意識的に信仰している自由主義市場の自己調整機能が実現不可能な妄想であることを看破する。

    まず、自由主義市場というものが自然発生的ではないことを指摘する。特に労働、土地、貨幣の三要素について、法的な強制力、国家という裏付けがなければ取引不可能であり、これらが擬制商品であるとする。本来的な市場取引は政治、文化に埋め込まれたものであり、独立なものではなかったが、擬制商品の取引を通じて政治や文化と経済が分離すべきものとして扱われたとする。要するに経済は政治の関与するところではなく自由放任にすれば自己調整機能が働くという理屈である。

    しかしながら、これら擬制商品は本来的に取引のために作られたものではないため、市場の自己調整機能に巻き込まれると回復不能な破壊をもたらす。これをポランニーはウィリアム・ブレイク「ミルトン」からの引用で悪魔の挽き臼と言っている。

    続いてこの悪魔の挽き臼を稼働する力学とそれに抵抗する力学、2つの運動が市場内に発生することを指摘する。これを二重運動という。たとえば抵抗する力学としては建設的なものは労働組合であり社会福祉的なものであるが、一方で1930年代を例にとり、世界恐慌以降のニューディール政策、ブロック経済、共産主義、ファシズム、それぞれを自由主義市場の失敗に対する国家の介入のバリエーションであると指摘し、悪魔の挽き臼に抵抗する運動が必ずしも民衆の自由に直結するものではないと警鐘を鳴らす。

    本書は、新自由主義に人々の生活が脅かされる現代にこそ顧みられるべき一冊ではないだろうか。

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    2026年06月26日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    ネタバレ

    ・市場経済の勃興には、労働の商品化=労働市場の形成が必要であり、イングランドでは第一次・第二次エンクロージャーによってなされた。王権は囲い込みを制限しようとしたが、議会は遂行しようとした。機械生産は、労働と原材料の商品化が必要。
    ・農業革命とともに市場は誕生したが、19世紀まで経済が市場に支配されることはなかった。生産と分配は、主として互酬・再分配・家政によった。クラ交易(バーターでなく、利潤はなく)、首長による徴収・貯蔵と再分配、ポトラッチ、村落共同体・荘園領主・家父長制家族による家政
    ・市場は遠隔地交易から生まれ、それは財貨の地理的偏在による。局地市場は近隣の生産物の交換。国内市場が自己調整的市場につながる。15世紀以降の中央集権化・商業革命、重商主義、都市ギルドの再編による全国化が国内市場を統合。
    ・18世紀末から19世紀に西欧で自己調整的市場が生まれる。労働・土地・貨幣の商品化。産業革命による機械生産がこれらの商品化を要請。社会は経済の付属物に。
    ・1795年のスピーナムド法(救貧法改正。1834年まで)が労働の商品化に対する最後の抵抗。失業・貧困者だけでなく有業貧困者も定額に達するまで給付対象にしたが、労働の質の低下と賃金引上げ誘因の減少をもたらした。また、救貧税の高負担は小規模な土地保有農・借地保有農の没落をもたらした。賃金労働者を雇用する地主にとっては賃金を低く抑えることができた。
    ・19世紀半ばにイギリスでもようやく自己調整的市場の制度化、1816年貨幣法(金本位制)、1844年イングランド銀行による金兌換紙幣、1834年救貧法改正、1846年穀物法廃止。(1833年奴隷制度廃止、1849年航海法廃止)
    ・自己調整的市場の拡張は、「経済自由主義の原理」と市場の破壊からの「社会防衛の原理」を生む。
    ・市場は人間に対しては、共同体の庇護から切り離すことになり失業をもたらし、土地(自然)に対しては安全保障上の食糧確保の問題や小農の破滅をもたらし、貨幣については不況時の破滅的デフレをもたらす。これらへの社会的防衛策が必然となる。
    ・自己調整的市場に対する各国の保護主義的対抗は、軋轢を生み、金本位制が消滅すると世界市場文明は崩壊した。
    ・最後に市場文明の崩壊に対し、土地、労働、貨幣を市場から取り除く、新たな「複合社会における自由」を提案するが、ユートピア的。

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    2026年05月29日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「大転換 市場社会の形成と崩壊」カール・ポラニー

    この本を読んで強い衝撃を受けるとともに、「あぁ、そういうことだったんだ」と私が生きているこの社会についてもう一歩踏み込んで理解できたように感じています。

    この衝撃を例えるならばこうです。

    わたしは子供のころ、「ビートルズは普通、代り映えしない」、「ストーンズはクセが強くて、カッコいい」と感じていました。
    ところがその後、音楽を聴き続けた結果、その構図はまったく正反対であることに気づきます。
    むしろ、ストーンズはR&Bの流れを汲んだ保守派、ビートルズこそがその後の音楽シーンをがらりと変えてしまうほどの革新派だったのだと理解したときの衝撃です。

    当たり前だと思っていた「市場経済」こそが実は人工的な発明であり、その後の人間社会をがらりと変えたということがこの本に書かれています。
    ポラニーの分析によれば、19世紀に採用された「市場経済」というシステムが社会に大きな衝撃をもたらし、それに対する社会の自己防衛反応が20世紀の破局(ファシズム、世界大戦)をもたらしたということです。

    内容について詳しく書くのは私には荷が重いため、強く印象に残ったキーワードをふたつご紹介します。

    【悪魔の挽き臼】
     市場ルール(経済)に社会を適合させようとして人間関係や規範を引き裂き、個人を分断するメカニズムのこと。
     本来、経済は人間社会の仕組みの下に位置付けられていましたがこの順位が逆転、共通の市場経済のルールのもとで人間社会はその下層に位置付けられました。

    【擬制商品】
     「労働(人間)」、「土地(自然)」、「貨幣」のこと。
     これらを商品のように取り扱うことで社会と環境が破壊されることにポラニーは警鐘を鳴らしました。

    これらふたつのキーワードは特に強く心に残りました。

    この本を読んで理解したのは、市場経済により解体されそうになった社会を守るための反作用のひとつとして、社会主義が位置づけられるということです。
    これは私にとっては天地が逆転したような衝撃です。

    「社会主義」といえば、「全体主義」、「中央計画経済」、「権威主義」という負のイメージが付きまといますが、ポラニーの言う社会主義とは単に社会を守ろうとする動きのことです。
    一部の極端なイメージを持って、この考え方そのものを切って捨てるのは行き過ぎだと思います。

    わたしの意見ですが、「社会主義」と対置されるのは「資本主義」や「自由主義」ではなく、あくまで「個人主義」。
    こう考えれば、どちらをとるかという二者択一の問題ではあり得ません。
    うまいこと国家を運営していくにはちょうどよい塩梅で両者を取り込んでいく必要があります。
    そもそも、「主義」という言葉を使って、個人と社会の二元論に持ち込むこと自体がナンセンスなのだろうというのが本書を読んで得られた気づきです。

    最後に、このボリューム、この難易度の本を私が読むために生成AIの力が欠かせませんでした。
    わかりにくい箇所の解説に始まり、私の解釈の妥当性の評価、これまで私が読んできた本との関連付けなどなど。とても豊かな読書体験になりました。

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    2026年01月08日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

    Posted by ブクログ

    経済人類学の始祖カール・ポランニーの名前を知ったのは25年以上前、栗本慎一郎を通じてだが、その代表作である本書を読んだのはつい数年前のことである。労働、土地、貨幣という本来商品化に馴染まない生産要素の商品化が社会の存立基盤を掘り崩し、社会の自己防衛としての対抗運動を生み出す。それがファシズム、社会主義、ニューディールという三つの形態をとって表れた今世紀初頭までの歴史を描いている。

    市場経済へのこの三つの対抗運動はいずれも国家主導によるものである。資本主義の暴走に歯止めをかけ、社会を防衛できるのは最終的には国家しかないのだ。これはいかにも逆説的だ。なぜならポランニー自身が指摘するように、資本主義は国家(正しくは近代国民国家)と手を携えて発展してきたからである。つまり資本主義とは国家の嫡出子であると同時にその鬼子でもあったわけだ。してみるとその矛盾がもっとも先鋭化するのは、それが自らを生んだ国家のコントロールを超えて肥大化していくグローバル資本主義と化す時であるのも当然である。この点で本書は今まさに最もアクチュアルな課題に関わってくる。ピケティの本が随分売れてるようだが、本書を読んでからでも遅くはない。

    ポランニーにとって「大転換」とは市場社会の崩壊であり、以後経済システムが社会に命令することを止め、経済システムに対する社会の優位が回復されるはずであった。「産業文明を新たな非市場的基礎の上に据え直すこと」にいささか楽観的に過ぎる展望を語って本書は閉じられる。ソ連崩壊の半世紀前に書かれたという時代的制約は止むを得ないとしても、いったん市場が社会を覆い始めると、逆に社会が市場の自己調整機能に依存するようになり、単なる市場への対抗運動だけでは社会の優位は回復されないことを銘記すべきである。「スピーナムランド法」(18世紀末の一種の救貧法)によるベーシックインカムの保障が逆に賃金の下落を招き、その反動で堰を切ったように自由放任に流れて行った歴史を知るポランニーはそのことを理解し得たはずだ。

    この関連で回顧的余談になるが、岩井克人が『ベニスの商人の資本論』の中で、パンダの親指のように進化の過程で退化したものを研究しても、現在の課題解決に直接役に立たないという趣旨の経済人類学批判をしたのに対し、栗本慎一郎が『意味と生命』の中で、岩井の「不均衡動学」こそ経済学と物理学の直結によるケインズ理論の復活であり、まさしく「ザ・リバイバル」だと猛反撃していたのが懐かしい。この点は経済人類学のアキレス腱であるに違いない。

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    2023年12月29日

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