文体やストーリー上の粗さを考えると★3~4が妥当かな、とも思いましたが、出会えて良かった作品だと感じたので、★5。
近世ヨーロッパをモチーフにした架空の世界で、クーデターやら軍事やらの言葉が飛び交う、やや異色の少女向け小説です。
クーデターから命からがら逃げ延びた王女が、ルチアと名を換え、家
...続きを読む族を救うため、国を救うため、なにができるのか考え、成長していきます。
このテの小説にありがちな暴走するお姫様ではなく、聡明で控え目な「だんまり姫」で、無理に一人立ちせず周囲に助けられて成長していくところが主人公として良いなと思いました。周囲の人が彼女をちやほやしないのも。あと、理工系という特色をよくヒロインに与えたな、と。彼女の性格とも相俟っているし、これはすごいです。
現実の世界史を下敷きにしているだけあって、話の土台はしっかりしているし、文字数制限の都合上簡略化されている部分はあっても、それが話の飛躍や超展開を招くことはなく、すっきりとまとまっています。
そしてなにより、メインキャラは主人公以外全員男性(「淑女」もいますが)なのにこの恋愛色の薄さ!
でも、話の重大さと期間を考えれば恋愛してる余裕はないし、安易に恋愛話に転ばないところがむしろ好印象。
話が政治的なだけに、色恋に流されたら興ざめですよね。
わたし的にはイロンデルの存在がおいしすぎました。
あと、セルピエンテも。裏表ある人大好きです(笑)