作品一覧

  • 羊の怒る時 ――関東大震災の三日間
    4.5
    1巻880円 (税込)
    1923年9月1日11時58分32秒、関東大震災が発生。関東一帯の大地が激動し、東京は火の海になった。突然起こった惨禍に、人々は動揺し、流言蜚語が発生。「朝鮮人が暴動を起こす。火をつける」というデマにより、多くの朝鮮人が虐殺された。自らの衝撃的な体験をもとに書かれ、震災の翌年から連載が開始された記録文学の金字塔。巻末に石牟礼道子によるエッセイを収録。

ユーザーレビュー

  • 羊の怒る時 ――関東大震災の三日間

    Posted by ブクログ

    関東大震災発生から数日間の、朝鮮人虐殺について著者が経験したことを記録した本、原著は1925年に書かれているとのこと。小説と言ってるからフィクションも含まれるはずだが、フィクション=事実を捻じ曲げてるわけではない(と思う)

    明らかに起こったと思われる事件を、綿密な調査と、それに裏付けされた想像力により、この物語が生まれた
    この物語を読んだ時に、何に想いをはせるのかは読んだ人の自由(と、この本は教えてくれる)

    こういう本を教科書に載せてほしい

    先日かなり前に見た映画の「福田村事件」で発せられた「朝鮮人ならええのか!」の一言を、改めて噛みしめることになった

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    2024年09月06日
  • 羊の怒る時 ――関東大震災の三日間

    Posted by ブクログ

    こんなに心に響いて読み応えがある本は久しぶりだった。
    関東大震災のときの、地震の様子、朝鮮人虐殺の日本人側の群衆の動きが細やかに描かれている。
    最初の方で、日本人の赤ちゃんを朝鮮の学生たちが救ってくれる。親は、ものすごく感謝するけれど、この後、朝鮮人の虐殺が始まっていく。
    集団パニックはこういうものなんだろうと思う。
    でも、冷静に考えられる人もいるけど、その人たちの力はあまりに弱い。

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    2024年01月03日
  • 羊の怒る時 ――関東大震災の三日間

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    ネタバレ

    読中・読後、辛くて堪らなくなってしまった。だが、「過去を学ばぬものは未来に対しても目を閉ざしていることになる」から、心身のあたうかぎり、折に触れ読み返したいと思う。ーー本書は、関東大震災(1923.9.1)とその後の2日間を、直に目の当たりにした作家が、小説のかたちで表したものだ。その眼は、『どこから出たかもわからない』デマゴギーから、日本庶民が朝鮮の無辜の人びとをどう扱ったかを、震災の様子ともども明確にとどめている。いちばんのおそれは、石牟礼道子さんが末尾の解説で語っているが、『五十年百年経って、われわれが同じことをしない保証がない』ことだと思う。ーーきょうは、あとは茨木のり子の詩「あの人の

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    2023年10月25日
  • 羊の怒る時 ――関東大震災の三日間

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    渋谷区初台に住む作家江馬修が関東大震災に遭遇した3日間を中心に書かれたルポのような小説である。当然渋谷区初台も大きく揺れたわけであるが家が倒壊したり火災になったわけではなく、高台にある彼の住まいから明治神宮の方向が3日間赤く燃え続けていたのが見えていた。そして震災初日の夕方から朝鮮人が暴徒化しているという噂が流れ始め、自警団が組織されるようになっていく。そんな様子に違和感と恐怖を感じながらも仲の良い朝鮮人を救えない焦燥感が描かれている。

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    2023年09月03日
  • 羊の怒る時 ――関東大震災の三日間

    Posted by ブクログ

    江馬修『羊の怒る時 関東大震災の三日間』ちくま文庫。

    今年2023年は関東大震災から100年目を迎える。1925年に刊行された100年前の関東大震災を追体験する記録文学の金字塔が待望の文庫化。

    巻末には、2編の解説とエッセイを収録。

    『解説──「あとがき」にかえて』天児照月
    『解説 江馬修『羊の怒る時』の意味』西崎雅夫
    『存在の根底を照らす月明り』石牟礼道子

    関東大震災の発生から三日間とその後の混乱の様子が描かれているが、余りにもリアリティのある描写に東日本大震災の時を思い出した。しかし、本作は震災と描写だけには留まらず、流言蜚語がもたらした悲劇の様子をも克明に描いている。

    過酷な状

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    2023年08月23日

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