同じ立場にならないと、本当の意味で相手を理解して共感する事は難しい。
何人ものがん患者を看取ってきた医師でも、自身の余命を意識したときは動揺した。そして今までの自分の患者さんの気持ちを初めて理解できた。
他人の気持ちを想像したり、推し量ったりする事は出来るし、そういう事はとても大切だ。
しかし、真
...続きを読むに理解して共感するには同様の体験をしていないと理解しきれない。
この本を読む方も、癌と診断されたり、癌の可能性を指摘された事がある人と、そういった経験がない人とでは受け止めかたが違うだろう。
前者である私としては、著者の率直な著述に共感し、涙を流した。診断時のショック、家族の優しさ、患者さん達の生き様、大いに共感し学びがあった。
日本人の1/2が癌を発症し、1/3が癌で亡くなる時代、著者の状況は他人事ではないはずである。
しかし、多くの人にとっては他人事なのである。他人事と思っていないと、不安でまともに生きられない。
そんな事を思った本書ですが、多くの人に読んでほしいと思いました。
死から逃げるだけでなく、今を良く生きるために、静かな場所で読んでいただきたいです。