デイジー・ジョンソンの作品一覧

「デイジー・ジョンソン」の「九月と七月の姉妹」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 九月と七月の姉妹
    3.8
    1巻2,200円 (税込)
    わたしは姉のセプテンバーの誕生から十か月後に生まれた。でも、互いの誕生日を混ぜ合わせて同じ日にしている。セプテンバーがそう決めたから。セプテンバーはゲームをする。セプテンバーが指示する側、わたしが操り人形。彼女の言うことをなんでも聞かなくてはいけない。指示通りにできなかった場合、わたしは命を一つなくしてしまう。そうやって遊ぶときはたいてい、わたしには命が五つあって、全部なくしたら何かが起こることになっていた。内気で意志の弱いジュライは、姉のセプテンバーの支配下にあるが、二人の絆は揺るぎないものだった。春先に学校で起きたある事件をきっかけに、母とともに町を出て亡父の生家へと引っ越したが、それを機にジュライの中には奇妙な不安と違和感が芽生え……

ユーザーレビュー

  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    九月生まれのセプテンバーと七月生まれのジュライ。十ヶ月違いの姉妹である二人は、母親すら入り込めないほど互いに強く結ばれていた。学校で起こしたある事件がきっかけで母娘は海辺に立つ〈セトルハウス〉に引っ越してきたが、塞ぎ込んで部屋に籠る母をよそに姉妹は遊ぶ。だが、なにもかも二人一緒の季節は終わりを迎えようとしていた。姉妹の絆と共依存、母と娘たちの物語。


    ブッ刺さった。読みながら言葉が全身に突き刺さってきて、その痛みで読むのを何度か中断したくらい。いきなり結末の話をしてしまうが、この小説はジュライにセプテンバーの喪失を克服させない。「これは現実じゃない」とくり返すパートが挟まれるので、現実には大

    0
    2024年03月15日
  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    読み始めた段階で、姉妹の結びつきが限りなく強固なものであることは察せられるのだけれど、ここまでとは。恐れと憎しみ、身を捧げるほどの愛。
    10ヶ月違いで生まれた姉に支配され、眠りに飲み込まれて心を病んでいるのかと思っていたら、あの日のショックを受け止めきれないまま日々を過ごしていたのだと分かって、一気に切なくなった。
    最初の詩の意味が理解できてくるのが面白かった。ジュライにとって姉はすべてのことに関係してくるから、どこにいても何をしていても姉の姿がチラつくのだ。もはや自分そのものである。
    セプテンバーが甲斐甲斐しくジュライのお世話をするから勘違いしそうになるけれど、横からなんでも取り上げていくの

    0
    2023年10月31日
  • 九月と七月の姉妹

    Posted by ブクログ

    我儘で強気な姉のセプテンバーと、内気で彼女に言われるがままに従う妹のジュライ。まるで主従のような姉妹の関係だけれど、彼女たちはあいだに親さえをも挟ませない強固な絆で結ばれていた。セプテンバーが言えば、望めば、命令すれば、ジュライは従う。それで世界は完璧だった。

    けれど学校の事件をきっかけに状況が変わってしまう。セプテンバーはジュライに言う、望む、命令する。ジュライは従う、受け入れる、呑み込む。その日々は変わらないはずなのに、学校を離れ引っ越した「セトルハウス」では、徐々に軋みを見せ始める。それは世界の崩壊をもたらし、彼女たちの自我の崩壊をあらわにする。

    起こったことをそのまま受け入れる「常

    0
    2025年08月13日
  • 九月と七月の姉妹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    詩のような文章が美しく、味わうことができてよかったと思う。
    自我がなく、境界や記憶が曖昧で混乱しているジュライ視点の文章は、時系列もあっちこっち行き来して理解も難しく読みづらかったが、それはそのままジュライの思考や内面を表していて、最後まで読むとそういうことだったのかと納得(最後まで一人称なので、全てを理解できるわけではないけれど)。
    それにしても読んでいくうちに読み手もセプテンバーに支配されていくような気味悪さがあり、ジュライが自身を傷つけることで自分の存在を感じる様はとてもリアルだった。

    0
    2024年02月23日
  • 九月と七月の姉妹

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    全てが誌のような小説だなと思った。
    少女たちの目に入る情景も、少女たちが感じる思いも
    綺麗だけど残酷だったな。
    ジュライは姉の愛に、呪縛にずっと包まれていたいのかそうでないのか。
    愛なのか呪いなのか分からないけれど、ジュライにとっては愛で、そして必要なものなんだろうな。

    0
    2024年08月18日

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