解毒スープという言葉が気に入った。毒って、知らない間に食べている。食品添加物など、食品を長持ちさせるために使われるが、実際は、身体に蓄積される。著者の大野沙織は、鍼灸師であり、解毒の必要性と腎臓の役割について、美味しそうなスープの画像をあげながら、さらりと解毒を語る。著者は、若い時に腎盂腎炎で、手術して、腎臓が1個しかない。
なぜ解毒が必要であるかという点については、
体内に蓄積される老廃物や不要物(毒素)の排出を促進し、健康と美容の維持を図ることが重要であるとされる。
具体的には、生命活動の過程で発生する老廃物や、食事や環境から取り込む有害物質が体内に蓄積すると、倦怠感、疲労、冷え性、むくみ、肌ツヤの悪化や白髪・薄毛などの不調や美容上の問題を引き起こすと考えられている。
東洋医学の観点から見ると、「気・血・水」のバランスを整えることが心身の健康維持において重要であり、解毒はその巡りを良くする手段である。
腎臓の役割については、解毒と調整の機能を担う臓器:濾過装置として非常に重要である。血液のろ過により不要な老廃物や毒素を尿として排出し、水分とナトリウム、カリウムやミネラルのバランスを調整し、体内の恒常性(ホメオスタシス)を維持する。さらには血圧調整などの多様な機能も果たしており、腎臓は、沈黙する臓器と言われるが、24時間体制で働き続けている。
これらを踏まえ、大野沙織が提唱する「解毒スープ」は、簡単に作れ、美味しくできる上に、腎臓に過度の負担をかけずに必要な栄養素を効率的に摂取し、抗酸化作用、利尿作用、解毒作用を持つ材料を用いることで、腎臓の機能低下や細胞のダメージを防ぐことを目的としている。腎臓にいいことしてあげるのだ。サラダより、栄養の吸収率はいいのだ。栄養をまるごと食べることができる。
さらに、解毒スープの具体的なレシピや食材の選び方についてもポイントを整理すると、まず基本的な調理法はシンプルかつ和風の出汁や素材の旨味を活かすものであり、調理法は食材をカットし、油を使わずに煮込むだけの簡便なものである。味付けはミネラル豊富な天日塩のみとし、他の調味料は不要とされる。
具材については、腎臓の働きを助け、解毒を促す効果が期待できる食材を選定する。具体的には、硫黄化合物を含み、デトックス作用が期待される玉ねぎ、長ねぎ、にら、にんにくなどの「デトックス4強食材」、抗酸化作用や利尿作用を持つブロッコリーやかぼちゃ、大根など、食物繊維が豊富で有害物質排出を促すごぼうやきのこ類、海藻類、そして鶏肉や豚肉、豆腐といった良質なタンパク質を用いることが推奨される。
食材の選び方においては、新鮮な生野菜を使用し、缶詰や冷凍、既にカットされた野菜は避けるべきである。調味料にはミネラル豊富な天日塩を選び、化学調味料やうま味調味料の使用は控えること。また、良質なタンパク質源としては、ブロイラーではなく、地鶏や豚ばら肉などを選択すべきである。
避けるべき食品や嗜好品としては、加工食品や添加物の多い加工肉(ベーコンやウインナー)を避け、糖質の多い芋類や甘いお菓子、ジュースなども控えるべきである。さらに、冷たい飲み物やアルコールは、体を冷やし腎臓に負担をかけるため、温かい飲み物を摂ることが推奨される。
以上のポイントを踏まえ、個々の体調に合わせて食材を選び、調理を行うことが望ましいと考える。玉ねぎ、ブロッコリー、大根、かぼちゃ、キノコ類をスープでいただく。腎臓に優しいのは、体にも優しい。腎臓だって、現代食生活で、疲れているのだ。