吉本興業の会長まで務めた人だが、飾ったところがない。修羅場をくぐった武勇伝でもない。元々の自分の性格をよくわかっていて、その上で、ダウンタウンの才能にほれ込んで彼らの笑いを世の中に届けること、そして会社を良くしたいという思いで会長まで上り詰めた人。興業という裏社会とのつながりも躊躇なく語り、その上で
...続きを読む、正すべきところは正し、でも、ルールでがちがちに縛りたくないという優しさ。こういう人が、企業のトップにいると、社員は幸せだなあ。
競争しない。友達は無理に作ろうとしない。誰か一人でも信じてくれる人がいればいい。その人に恥じないように生きればいい。逃げる場所を持つ。いやな人はいるが、自分にとって見えている面が嫌なところであるだけ。他の人にはその人の良い面が見えている。この視点、冷静に考えればすごくわかるのだが、私、今、とある人達をそういうように見られない位、人を嫌いになる出来事があった。その人たちは誰かにとっては良い人で、私には嫌な奴なんだろう。客観的にはそうなんだろう。ただ、いやなことをされた真っ只中にある今は、冷静に見るのは難しいけど、「こんな考え方もあるな」と触れるだけでも良い。
仕事って「誰かの役に立つ」、そこから始めれば良いし、その積み重ね。本当にそう思う。この方は仕事が軌道に乗ってきたら転勤命じられて、腹立つしクサルこともあったに違いない。でも、根は腐らず、「人の役に立ったらうれしい」という思いで、いろんな人に引き上げられたのだったら、彼もすごいけど、周りもすごい。そんな関係で仕事に打ち込めたのはうらやましい。私の仕事生活でそんなことはなかった。でも、いい。著者も言ってる「仕事で認められなくても職場で知りえる人って人類の中の微々たるもの。」
最後、吉本をルールがちがちの会社にしたくない、なぜなら芸人になりたい人は、社会の底辺の人(お金がない、あたたかい家庭を知らない、差別されてる人)が身一つで一旗揚げようとして来る、そんな人たちの「居場所を作る」という言葉は、胸が熱くなった。吉本と裏社会の問題はよく報じられるけど、この本を読んだら、ちょっと見方が変わるかも。また、やくざをバックにした創業家族に退陣してもらうくだりは手に汗握る展開だった。
今、謹慎中の松本人志さん、もちろんこれを読んでるなら、どう自分の芸人人生を正す??
余談ですが、、、会長がよく通った大阪の清水湯、23年に閉業したようで残念。読後、大阪に行ったら行こうと思ったのに。