「もしもドローンに襲われたら」、「もしも手足を切断しなきゃならなくなったら」、
「もしもピューマに遭遇したら」、「もしも車をスピンターンさせなきゃならなくなったら」という、たぶん今の日本で普通に生活している限りはあまりなさそうな「もしも」から、「もしもネットいじめに遭ったら」、「もしもクマに遭遇し
...続きを読むたら」、「もしも相手が騙そうとしてきたら」、「もしも津波に襲われたら」、「もしも新型ウイルスやインフルエンザが流行したら」など、これは知っておいても良さそうな「もしも」まで、全部で70近くの「もしも」の状況で、最も安全で合理的で生還率の高くなる対処法について解説した本。この本の第2弾が『もしも車が崖から落ちそうになったら』。
続編の方から先に読んで、意外と面白かったので、第1弾の方も読んでみた。いくつかの「もしも」が続編と同じだった。役に立ちそうなことと、本を読んだだけではとても出来なさそうなことの2つがあった。「もしも密室に閉じこめられたら」では、ドアの蹴破り方が書いてあるけど、これ自分でやったら足の指の骨とか折れそうで怖いなとか思った。「もしも気管切開術を執り行なわなきゃならなくなったら」は、本当に怖くてできない。喉を切開するなんて。やったら失敗して殺人罪に問われそう。「もしも車がロックされてしまったら」も役に立ちそうだけど、これも実際にやってみないことには…。いくつかの「もしも」は、なんか昔テレビ番組であった「伊藤家の食卓」のワイルドバージョンみたいな感じ。いくつかは映画のスタントシーンでありそうな状況で、映画とか制作する人?シナリオとか書く人?ならとても有益かも。笑えた「もしも」は、「もしもスマートホームが家を乗っとろうとしてきたら」。これは笑える。SF映画の世界。こんなことあるのか?「もしも怪しげなピエロを見かけたら」では、どのようなピエロの行為が、どれくらいの危険度を持っているかが分かるのが便利。「野球のバット、肉切り包丁、斧など、笑えない武器を持っている。 危険性:高い」(p.192)とか。あと役に立ちそうなら、「もしも乗っている車が水没し始めたら」で、「閉じ込められたら場合は、車内が水で満ちるのを待つ」(p.235)というのが意外。「水が頭の高さまで到達する直前に、思い切り息を吸い込んでから呼吸を止めてください。車内と車外の水圧が均等になっているので、ドアを開けられるはずです。」(pp.235-6)だそうだ。なるほど。ドアが開かなくなっても希望を捨てちゃダメなのか。あと、そういうサバイバル系のもの以外に、「相手が騙そうとしてきたら」のところで、「自分が間違えている可能性も認めること。相手と同じ土俵には立たない」(p.190)といった、コミュニケーションの方略みたいな項目があるのも面白かった。「相手が完全無欠であると自称していることが、どれだけ恥ずかしいことなのかを思い知らせてやるのです。『誰だってときには悪口を言うし、偽善者になるし、誤った信念を抱くこともある。私はそれを受け入れているけど、どうやら君には難しいみたいだね』とでも言ってやりましょう」(同)とか、結構使えるのでは。
という本だった。続編の感想でも書いたけど、これのもとの英語を持ってきて、さらに他教科の先生とコラボ(おれは英語教員なので)とかやったら、ちょっと面白いかな、と思った。(24/02/04)